第34回 「ソフトウェア試験文書」-プロセス文書とマネジメント文書-

しばらく番外編が多かったのでISO/IEC/IEEE 29119の解説に戻ります。今回は、試験文書についてです。試験文書は大きく【1】組織的試験プロセス文書【2】試験マネジメントプロセス文書と【3】動的試験プロセス文書に分けて定義されています。【1】組織的試験プロセス文書は、本コラム第26-27回で解説した試験方針と戦略を文書化したものです。
試験方針は、組織内で適用される、ソフトウェア試験の目的と原則を定義します。試験で何が達成できると良いかを定義しますが、どのように試験を実施するかの詳細な記述は必要ありません。組織的試験戦略は、組織内でどのような試験が実行されたほうが良いかを示す指針を示す文書です。試験方針で書かれている目的と原則をどのように達成するかを文書化するものです。戦略なのでプロジェクト単位で作成されてもかまいません。実際の項目等は、第26-27回をお読みください。

第26回 ソフトウェア試験の国際標準規格ISO/IEC/IEEE 29119が公開~ソフトウェア試験の概念 -試験計画の考え方- ~

第27回 ソフトウェア試験の国際標準規格ISO/IEC/IEEE 29119が公開~「ソフトウェア試験の概念」-監視と管理-~

試験マネジメントプロセス文書は、試験計画から始まり完了までのプロセスに必要な文書について具体的に定義しています。具体的な文書の種類は次のとおりです。
「試験計画書」「試験設計仕様書」「試験項目仕様書」「試験手順仕様書」
「試験データ準備報告書」「試験環境準備報告書」「インシデント報告書」
「試験状況報告書」「試験完了報告書」

試験マネジメントプロセスでは、計画を策定したら、各試験が計画どおりに実施されて進捗しているかを監視して必要に応じて管理することとしています。この監視に有効な文書が上記となります。試験計画書は、プロジェクト単位に作成します。試験の対象項目、適用範囲、前提と制約、利害関係者を「試験の背景」として記述します。二つ目は「試験情報伝達」です。試験間、他のライフサイクル活動、および組織内の情報伝達の方針を記述すると定義されています。具体的には、組織図や承認フローを図式化したものが分かりやすいと思います。次はリスク一覧です。実際の現場で一番見落とされているのがこのリスク一覧だと思います。リスクは製品リスクとプロジェクトリスクがあります。製品リスクには機能的な不良や、定義されていない非機能要件の不良があります。非機能要件とは、何度か説明してきましたが、仕様書の要求事項に含まれない機能です。要求されていないのに機能として実装されているのが「あたりまえ」。俗に言う「あたりまえ」品質です。

利用時品質を含めて、今回の試験の範囲では検出できないリスクをあらかじめ文書化して提示することが重要です。試験戦略については、前出の組織的試験戦略を実現するための文書群となります。成果物、設計技術手法、完了基準、測定方法、試験データ要求事項、再試験および回帰試験、試験の中止および再開基準等が必要となります。その他としては見積りと人材に関する記述となります。人手に頼る試験の場合は、人材の役割、活動内容、責任を明確にする必要があります。人材のスキルレベルを明確にするうえで参考になるのが一般社団法人 IT検証産業協会で定義しているキャリアレベルがあります。エントリーレベルからハイレベルまで七段階に分類してそれぞれのキャリアイメージを明確にしていますので、実行部隊のレベル測定にも適用できると思います。

※一般社団法人 IT検証産業協会(通称:IVIA)

次回は3月24日(木)更新予定です。

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この記事の著者

日本ナレッジ株式会社 代表取締役社長

藤井 洋一

1957年生まれ。大学卒業後、金融機関を経て27歳で創業。業種に特化したパッケージソフトウェア開発を中心にビジネス展開し、2005年からソフトウェアの品質向上の手法として、第三者検証の有効性と必要性を説き事業化。
一般社団法人 IT検証産業協会 副会長
一般社団法人 コンピュータソフトウェア協会 理事兼PSQ品質基準委員会 委員長
著書:
「スポーツでの映像システム活用法」 日本文化出版
「IT検証技術者認定試験 知識試験テキスト」 BCN
日本ナレッジ株式会社

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