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第48回「2020年問題」がやってくる! Windows 7から10への移行は進んでいるのか?
2020年1月14日に延長サポートが終了する「Windows 7」。その時まで1年半を切りました。延長サポートの終了後は、不具合の解消や脆弱性の修正などが実施されなくなるため、企業は「Windows 10」への移行を迫られています。また、2020年は「Windows Server 2008/2008 R2」や「Office 2010」もサポート終了となります。今回は、その期限まで1年半を切った“Windowsの2020年問題”についてお伝えします。(Windows 7、Windows Server 2008/2008 R2のサポートは2020年1月14日をもって終了しました)
「2020年問題」がやってくる! Windows 7から10への移行は進んでいるのか?
Windows 10への移行、約半数が間に合わない可能性も……
Windows 7の延長サポート終了の対策として、企業は保有するPCのOSをWindows 10へ移行することが必要になります。しかし、IDC Japanの調査結果によれば、延長サポートの終了時期(2020年1月)に稼働している法人向けPCのうち、その約半数しかWindows 10への移行が完了していない可能性があることが分かりました。
- * 出典:IDC Japan 「2018年 国内法人市場 Windows 10 移行状況に関する調査結果を発表」
今回の調査では、Windows 10への切り替え予定がある企業における2019年下半期でのWindows 10搭載PCの比率は82.3%と、切り替え率が1年前の調査時よりも約17ポイント上昇しました。これは、企業でのWindows 7サポート終了の認知度が高まり、具体的な切り替えを計画する企業が増加したことが要因と考えられます。
一方、具体的な切り替え計画がある企業のPCは、法人市場における稼働PC全体の40.6%に過ぎません。そのため、企業が利用しているPC全体の中でのWindows 10比率は、2019年下半期では49.3%、2020年上半期で51.5%に過ぎず、現在の状況ではWindows 7サポート終了時点におけるWindows 10搭載PCの割合は、稼働PC全体の半数に過ぎないと予想されています。
ほかにもある、2020年の移行問題
2020年にサポートが終了するのはWindows 7だけではありません。サーバーOSであるWindows Server 2008/2008 R2も、同じく2020年1月14日で延長サポートが終了します。IDC Japanによれば、既に84.6%の企業が移行を計画しています。多くの企業がWindows Server 2003のサポート終了の混乱を経験したことで、Windows Server 2008では計画的に対応が進められている状況にあるようです。
- * 出典:IDC Japan 「2018年 国内クラウドインフラストラクチャに関するユーザー動向調査結果を発表」
一方、「移行は検討しているが具体的な計画はまだない」(5.9%)、「サポート終了後も当面使い続ける」(4.9%)、「サポート終了は知っていたがまだ何も検討していない」(3.9%)と回答した企業も少数ながらも存在しているのが実情です。Windows Server 2008は、特に部門内サーバーなど、情報システム室などがあまり管轄していないシステムで多数稼働しているともいわれています。中堅・中小企業の中には、基幹業務システムをWindows Server 2008で運用しているというところもあります
さらに、2020年10月13日には、Office 2010の全サポートが終了します。早めの計画立てた準備が必要です。
次回は9月上旬の更新予定です。