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第6回 決算直前だから知っておきたい節税対策!優遇税制で上手に設備投資!
「IT設備を導入すると税負担が軽くなる制度があると聞くが、設備全体が適用になるのか、個々の製品に限られるのかわからない」という声を耳にします。こうしたいわゆる「優遇税制」には税制ごとに個々の条件があり、適用範囲・要件が細かく定められています。思わぬ「適用外」にならないよう、正しい知識が必要です。
◆ 100%即時償却が可能!「生産性向上設備投資促進税制」活用法
IT設備を導入する際に利用できる優遇税制は複数あります。中でも、昨年1月に施行された「生産性向上設備投資促進税制」は、「先端設備」としての条件を満たすサーバー用電子計算機、販売・生産・顧客管理などのソフトウェア、プリンターなどを取得した場合、その全額を即時償却することができるので、特に節税効果が高い税制といえます。業種に制限はなく、青色申告している法人・個人が対象です。取得価額全額の即時償却、または5%の税額控除のどちらかが選択できます。
「生産性向上設備投資促進税制」は、『先端設備の導入』と『生産ラインやオペレーションなどの改善に関連した設備の導入』の2種類に分類され、それぞれ要件が異なります。先端設備は、最新モデルで購入製品の性能が1%以上向上していることが条件になり、消費電力や処理速度など性能向上の証明が必要です(販売店を通して工業会に申請)。一方、改善のための設備は、投資計画書を作成して公認会計士または税理士の確認の上、経済産業局に申請します。どちらも最低取得価額が設定されています。
◆ ~ パソコンやタブレットなどの購入の際に ~ 「少額減価償却資産一括損金算入特例」
2003年からスタートして2016年3月まで延長されている「少額減価償却資産一括損金算入特例」(注1)は、30万円未満の償却資産であれば一事業年度内限度額300万円まで損金算入が可能です。1台30万円未満のパソコンや
タブレットを購入するといった場合に利用しやすいといわれています。
- (注1) 2017年4月1日現在、「少額減価償却資産一括損金算入特例」は2018年3月31日までの間に取得したものが対象
ちなみに、10万円未満の消耗品などであれば一括損金算入しても良いですが、消耗品だからといって同じものを大量に購入したとしたら、期末時点で未使用だった分に関しては資産とみなされてしまう場合があるので注意が必要になります。
下記は各種優遇税制の内容と対象製品の関係を纏めたものです。対象設備や適用要件などに違いがありますので、“どの製品がどの税制に適用可能なのか”をよく調べた上で、メリットのある設備投資をしましょう。
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