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第43回 あなたの会社は大丈夫? 残業が発生する職場に見られた“4つの特徴”とは!?
近年の働き方改革の推進に伴い、「長時間労働・残業抑制」に取り組む企業が増えています。しかし、一方で自社の残業の実態を把握しないまま、残業抑制だけを目的としてさまざまな施策を講じて、結果として効果が出ていない、または効果が出ていても別の弊害が生じている、というケースも少なくありません。今回は、各企業が取り組む「残業問題」について、ある調査結果の事例などを基にお伝えします。
あなたの会社は大丈夫? 残業が発生する職場に見られた“4つの特徴”とは!?
近年の働き方改革の推進に伴い、「長時間労働・残業抑制」に取り組む企業が増えています。しかし、一方で自社の残業の実態を把握しないまま、残業抑制だけを目的としてさまざまな施策を講じて、結果として効果が出ていない、または効果が出ていても別の弊害が生じている、というケースも少なくありません。
今回は、各企業が取り組む「残業問題」について、ある調査結果の事例などを基にお伝えします。
「集中」「感染」「麻痺」「遺伝」……
2018年2月、パーソル総合研究所が発表した、東京大学中原淳准教授との共同研究「希望の残業学プロジェクト」の結果は大変興味深いものでした。
中でも、今回注目したのは「残業を増やしている要因」です。その調査結果を分析・整理したところ、残業が発生する職場には、残業が「集中する」「感染する」「麻痺する」「遺伝する」という特徴が見られました。
まず、「集中」とは、部署内の仕事のシェアがうまくいかずに、優秀な社員に残業が集中している状況です。これでは個々の能力が伸びない恐れがあるため、できる限り各社員に万遍なく仕事を割り振る必要が生じます。
次に「感染」。職場内の同調圧力により、帰りにくい雰囲気が蔓延している状況です。「まだ働いている人がいるので帰りにくい……」と考えるのは、若い社員ほど顕著とのこと。例えば、男性20代は50代の1.9倍、女性20代は50代の1.7倍も帰りにくさを感じているという結果が出ました。さらに、上司の残業時間が多ければ多いほど、「帰りにくさ」は増すという傾向も明らかになっています。
続いて「麻痺」は、長時間労働によって「価値・意識・行動の整合性」が失われ、健康被害や休職のリスクが高まる状況です。今回の調査では、残業時間が60時間を超えると、「幸福度」と「会社への満足度」が増すという結果が出ました。加えて、残業が60時間を超える人は、「食欲がない」「強いストレスを感じる」「重篤な病気・疾患がある」という質問への回答率が高くなりました。
最後に「遺伝」です。これは、上司の若かりし頃の長時間労働の習慣が、部下の世代にも継承されている状況です。昔は「残業が当たり前の雰囲気だった」「終電まで残ることが多かった」ということを経験している世代の上司は、転職しても部下に残業を多くさせているという結果が出ています。上司の残業体質は、世代だけでなく、企業を越えて受け継がれてしまっていることになります。
“悪しき慣習”の是正には、ITの活用が不可欠!
働き方改革の中でも、「長時間労働・残業抑制」に関する取り組みは、2016年頃から進んでいたものの、上司が部下の残業を細かくチェックして安易に残業させない、ノー残業デーを徹底するなど、ITが関わらない取り組みが大半でした。ITを活用する企業は少なく、活用したとしても単体の仕組みを導入するに留まるケースが多くありました。
2018年以降は、テレワークの導入・活用に加えて、その環境整備に向けた業務ソフトのクラウド化、モバイル機器向けのセキュリティ対策や管理ツールの導入などが進むと予想されています。
みなさんの会社では、「集中」「感染」「麻痺」「遺伝」は出ていませんか?「長時間労働・残業」という“悪しき慣習”を是正するには、ITの活用が不可欠です。ぜひ、この機会に改めてご検討ください。
働き方改革には、多様な働き方の実現に加え生産性向上への取り組みが欠かせません。企業力向上にもつながるシステムに求められることを1ページで分かりやすく解説します。
働き方改革(ERPナビ)
次回は4月上旬の更新予定です。