第92回 運送業が自動点呼できる体制にするために行わないといけないこと

前回のコラムでは、運送業で台帳をデジタル化する際に気を付けておくポイントというテーマで執筆しました。運転者台帳や車両台帳のデジタル化が求められる背景には、「点呼」実施の厳格化があるようです。今回は最近の業界キーワードでもある「自動点呼」についてお話ししていこうと思います。

運送業が自動点呼できる体制にするために行わないといけないこと

前回のコラムでは、運送業で台帳をデジタル化する際に気を付けておくポイントというテーマで執筆しました。運転者台帳や車両台帳のデジタル化が求められる背景には、「点呼」実施の厳格化があるようです。運送業が行政処分を受ける際、多くの会社が「点呼未実施の指摘」を受けています。それだけ点呼が重要だと判断されているともいえ、「IT点呼」「遠隔点呼」など合理的に点呼を行える仕組みも行政が検討しています。それを可能にするのは運転者台帳などの基礎データのデジタル化ですから、これは必ず進めておかなければいけませんね。

今回は最近の業界キーワードでもある「自動点呼」についてお話ししていこうと思います。

運送業で行う「自動点呼」とは

自動点呼とは、AI・ロボット・ICT機器などを活用して自動化した点呼方法のことです。通常の点呼は運行管理者が対面などで、ドライバーの健康状態や酒気帯びの確認、運行状況の報告などを行います。

運行管理者の代わりにAIやロボット、ICT機器が点呼業務を行うため、業務負担の軽減や労働時間の削減、人的ミスの防止における安全面の向上などが期待できます。なお、自動点呼を行う際には国土交通省の認定機器を取り入れ、要件を順守したうえで実施しなくてはなりません。

自動点呼の実施条件

  1. IT点呼の実績があり、かつ法令違反歴が一定期間ないこと
  2. 点呼実施の責任体制(管理者の配置・監査体制など)が整っていること
  3. 国交省または地方運輸局から許可を受けること

とされています。当然といえば当然ですが、条件をクリアできる会社とできない会社とでは社内体制に大きく違いがありそうです。

自動点呼の種類

自動点呼は主に「業務前自動点呼」と「業務後自動点呼」の2種類に分けられます。業務前自動点呼は、業務の開始前に点呼における確認や指示の一部、または全てをAIやロボットなどが代わりに行う点呼を指します。
2025年5月現在、業務前自動点呼は「先行実施」という形で一部事業者に限り認められています。つまり、まだ全面的に実施許可はおりていませんので注意が必要です。

行えるようになった場合、運行管理者は点呼に立ち会わなくても良いことになりますが、当面は万が一の事態に備えて常に対面点呼などが行える体制を整えておく必要がありそうです。なにはともあれ早く法的許可がおり、一般的な運送事業者が利用できるようになれば運送業の業務は大きく変わることは間違いありません。

点呼の種類ごとにおける可否についてのまとめ

点呼は業務前・後・中間のタイミングによって、できる点呼方法、できない点呼方法があります。2025年5月時点での点呼の種類ごとの可否をまとめてみました。

点呼の種類対面電話IT点呼自動点呼
乗務前点呼×○(条件付き)○(許可制)
乗務後点呼×○(条件付き)△(許可制)
中間点呼(途中休憩など)×○(柔軟)×(不可)

当然ですが、全くドライバーとコミュニケーションをとらずにうまくいく方法はありません。念頭に置いて合理化を進める必要がありますね。

次回は5月30日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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