第93回 運送業が給与DXを検討する前に考えておくべきこと

前回のコラムでは、自動点呼に対応するために必要な体制づくりについてお話ししました。自動点呼とは、ITやネットワーク機器を活用し、運行管理者が行っていた点呼業務(健康確認・酒気帯びチェックなど)を自動化する仕組みです。今回は運送業の「給与DX」についてお話しします。

運送業が給与DXを検討する前に考えておくべきこと

前回のコラムでは、自動点呼に対応するために必要な体制づくりについてお話ししました。自動点呼とは、ITやネットワーク機器を活用し、運行管理者が行っていた点呼業務(健康確認・酒気帯びチェックなど)を自動化する仕組みです。これは画期的な仕組みですし、効果として労務負担の軽減が大きく期待されます。
しかし、導入には国交省の認可や体制整備が必要であり、現在は「業務後点呼」が中心で、「業務前点呼」は一部事業者のみ先行実施中です。法整備が進めば、運送業の働き方改革が一気に進む可能性があります。

2024年問題を解決するためにさまざまなルール変更、新しいハードウェア、ソフトウェアが運送業に投入されていきますね。今回は運送業のもっぱらの話題、「給与DX」についてお話しします。

運送業の給与DXとは

従来の運送業では、ドライバーの走行距離、拘束時間、残業、荷役作業などが複雑に絡むため、給与計算は非常に煩雑で、多くが手作業・紙ベースで行われていました。「給与DX」とは、こうした業務をクラウドシステムやアプリを使って自動化・可視化し、以下のような課題を解決できる手法であると考えられます。

  • 給与計算の自動化(運行データや日報データと連携)
  • ドライバーの公平な評価と手当設計(インセンティブ設計、マイレージ制など)
  • 改善基準・労働基準法への対応強化(時間外労働、休憩、拘束時間の順守)
  • 人手不足対策(給与の「見える化」で採用・定着率向上)
  • ミスやトラブルの削減(手計算や記録漏れの防止)

運送業の「給与DX」はなにをすればいいか

DX(デジタルトランスフォーメーション)ですから、やはりデジタル化を進めなければいけません。まずすべきことは、運転日報の記録項目をDXすることです。具体的には下記の内容になります。

  • 労務的要素(出退勤時間、拘束時間、労働時間、休憩時間)
  • 作業的要素(積込・納品時間、待機時間など)
  • 距離的要素(走行距離など)
  • コスト的要素(燃料使用量、有料道路使用料)

これがDX、つまり行動が定量化されていると、給与体系の幅が大きく広がり、ドライバーの手当(インセンティブ)設計はより具体的なことができるようになります。逆にこれがDXされていないと、「よくできました」「もう少し頑張ろう」といった定性的な評価になってしまいます。
「団塊の世代(1947~1949年生まれ)」が全て75歳以上となる年で、さらに人手不足が問題視されている「2025年問題」という言葉が出てきているぐらいですから、運送業界ではより明確な給与体制の整備が採用の鍵となります。

今、取得できていない数値を利用して給与体系を作ろうとすると、データ作成に人手がかかります。既にある数値を利用して作るのであれば効率的に運用できます。DXが進んでいるほど、他社よりアドバンテージがあることが理解できると思います。

次回は6月13日(金)更新予定です

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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