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第96回 事故統計を用いた安全教育
やみくもに対策を講じるのではなく、危険の背景を読み“安全の狙い”を絞りましょう。各社の事故統計を活用すれば“今日の危険”を予測して、各ドライバーに見合った対策を講じることができます。
事故統計を用いた安全教育
出発点呼でのドライバーへの指示は、バッターボックスに向かう打者にベンチから狙い球を指示することと似ています。
やみくもに対策を講じるのではなく、危険の背景を読み“安全の狙い”を絞りましょう。
各社の事故統計を活用すれば“今日の危険”を予測して、各ドライバーに見合った対策を講じることができます。
残念ながら、交通事故が発生したらドライバーの責任です。
しかしながら、交通事故を防止できなかったのは管理者の責任です。
何度も交通事故を起こすドライバーがいるならば、ドライバーの努力不足です。
何度も交通事故を起こす事業所があるならば、それは管理者の努力不足です。
「いつも同じような状況で事故が発生している」
「違った状況でもいつも同じような事故が発生している」
「いつも同じ人が事故を起こしている」
事故統計から読む「いつも」を「もしも」に変えるのが「かもしれない管理」です。
個々に差がある「危ない」との感じ方を、安全な人が感じる「危ない」のレベルに合わせることから始めましょう。
社内でのルールを決めることと同じく。
社内での「危ない」と感じるレベルを統一するための安全教育から始めましょう。
品質においては上記の「危ない」を「汚い」に置き換えてみましょう。
「危ない」や「汚い」のレベルは事故報告書の作成方法にも表れます。
何度も交通事故を起こすドライバーの事故報告書には、再発につながる共通点があります。
何度も交通事故を起こす事業所の事故報告書にも、再発を防止できない共通点があります。
事故報告書の作成ポイントは「正しく・美しく・早く」
事故報告書から読む事故統計を安全教育で活用することで、その事故は以降の安全に向けた「高い授業料」として活かせることもできます。
安全教育に活用しなければ、その事故はその年度の「高い弁済金」になります。
他社での事故事例を活用すれば、安全対策費はゼロ円で事故ゼロを目指すことができます。
「国内の事例」から「業界内の事例」を読む。
事故とは複合的な結果であり、事故を減らすには「事故に至った自己の原因」を把握して正すことです。
「社内の事例」から「個人別の事例」を読む。
「事故の事例」から「原因の事例」を読む。
対策とは取り決めであり、教育とは取り組みです。
「他社の対策の事例」から「他社の教育の事例」を読む。
自社の事故統計の分類は下記の4項目からはじめましょう。
- 人に関する「年齢層・社歴・職種・交通違反歴や事故歴・運転行動」
- 時に関する「時間・曜日・月・年・周期」
- 背景に関する「季節・天候・道路・地域・運転室内の環境・運行形態」
- 結果に関する「バック・追突・交差点」
自分の失敗から学ぶことは、安全になれる最後の機会です。
誰かの経験から学ぶことは、安全になれる最高の機会です。
他地域や他社で発生した事故事例にも関心を持ち、自分の仲間に発信しましょう。
自分と同じように関心を持ってくれたかを、自分の仲間に質問をして確認しましょう。
誰かの失敗の経験を、会社の安全の歴史に変えるために。
ありがとうございました。
次回は4月21日(金)更新予定です。
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