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第97回 「イチ」と「ゼロ」を目指して
運送業界では事業の規模や形態を問わず、安全や品質に対する関心がさらに高まってきたようです。その風潮から、仕事の時間を割いてでも、定期的に研修を受講することが習慣になりつつあるようです。
「イチ」と「ゼロ」を目指して
運送業界では事業の規模や形態を問わず、安全や品質に対する関心がさらに高まってきたようです。
その風潮から、仕事の時間を割いてでも、定期的に研修を受講することが習慣になりつつあるようです。
研修の開催は「事故が起こったから」や「法律で決まっているから」などのやらされた感ではなく、自分たちの意思で始めて「自分の身体(安全)や仕事(品質)を守る」ために開催することが、継続できる条件です。
また、研修時に受講者が身だしなみを整えて前方の座席から詰めて座る習慣は、安全への積極性と周囲への配慮が“見える習慣”であり、継続開催の賜物です。
品質では「一番」を目指しましょう。
もしも日本一が難しいのなら。
「エリアで一番・都道府県内で一番・市内で一番」と、対象を狭くしてでも「一番」を目指しましょう。
「一番」にこだわることで、妥協せずに「一番」の改善活動を進めることができます。
安全では事故「ゼロ」を目指しましょう。
一年間の事故ゼロが難しいのなら。
「一カ月・一週間・一日」と期間を短くしてでも「ゼロ」を目指しましょう。
あわせて「一年間の計画的な無事故」と「一年間の計画的な安全教育」とでは、どちらが容易かを考えてみましょう。
言い換えると「教育の計画なくして安全の継続なし」。
安全教育の計画の本質とは「研修を開催する計画」ではなく「ドライバーが安全になるための計画」です。
よって、研修内容を記録して会社で保存しているだけでなく。
研修内容がドライバーの記憶に残り、車内を含む社外でも自分の習慣として自然に実践できるようになることが研修の目的です。
研修で聞くだけでなく、実践して実力にしましょう。
研修で聞いたことを実力として継続して、実績にしましょう。
月次の研修では「マンネリの状態」になるまで教育を繰り返してみましょう。
マンネリの状態とは、その状態になるまで長い期間を掛けて教育を繰り返した努力の証しともいえます。
研修の「ネタが無い状態」とは事故やクレームが無い状態を指します。
「マンネリの状態&ネタが無い状態」になった時からが真の教育です。
やらなければいけないことが無くなれば、やりたいことが思い浮かぶはずです。
その時になって初めて、教科書(法律)にもインターネット(世間)にも載っていなくて、教習所(学校)では習えてくれない大切なことを、社内で考えて伝えることができます。
点呼と比較して研修の良いところは、質問に対する他者の回答を聞けることで他者と自分を比較できる点。
本音の意見が聞けるように、研修はできるかぎり少人数制で開催することをお勧めします。
また、他者の考え方や実践度合いを聞くことで、他者への関心や関係性が高まります。
研修は継続開催で、「誰かに教えられる」くらいに理解をするまで質問を繰り返すこと。
それが研修の成果を導くための「遠回りのようで最大の近道」です。
安全も研修も結果を求めるなら「急がば回れ」です。
ありがとうございました。
次回は5月12日(金)更新予定です。
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