ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第71回 便利なものは危ないもの
今の世の中には便利なものがたくさんあります。
しかしながら便利さを優先するあまり、使い方を間違えれば危ないものや不便なものもあります。
フォークリフトは人の荷役作業を軽減して、荷役時間を削減する便利なもの。
フォークリフトでパレット積にすれば楽です。
そのリスクとして荷崩れ事故が起こりやすい。
バラ積の場合には荷崩れ事故は起こりにくい。
ゲート付トラックも同様。
ゲートが付いているから仕事が楽な反面、ゲートに足を挟まれたり、ゲート面から落下したりすることにより労災事故になることもあります。
自転車は気軽に乗れる便利な乗り物です。
急に停まりにくいことや、転倒の恐れがあることは自転車の悪い面。
そこで自転車を“危ない乗り物”と捉えて、自転車の運転行動を観察してみましょう。
車を運転中に自転車を見掛けたら、ブレーキで回避する運転習慣を身に付けましょう。
みんなで自転車事故ゼロを目指しましょう。
携帯電話も便利なもの。
運送業界においては、特に無線が届かない長距離配車のスタイルが激変しました。
携帯電話が普及する以前は、会社に連絡をするためにトラックが停車できる公衆電話の場所を知っておくことも、プロドライバーの知識のひとつ。
携帯電話の普及により、通話をしながら運転したことによる交通事故が増加したことで、運転中の携帯電話の保持や使用に対する法律ができました。
また“いつでも直接通話できる”との容易さにより、緊急連絡の用件レベルが低下して連絡頻度が向上。
自宅で枕元に携帯電話を置いて寝ている管理者も多いのでは。
私もそのひとりでしたが、夜中に携帯電話が鳴ったら100%良い知らせではございません。
研修の資料作成時には欠かせないデジタルカメラは便利なもの。
これは余談ですが、子どもの頃には限られた撮影枚数を気にしながら撮影して、カメラ屋さんにフィルムを現像に出して仕上がりを待つのも、楽しみのひとつでした。
デジタルタコグラフも便利なもの。
ドライバーが日報やチャート紙に記入する時間と手間が軽減されました。
運送業界における昨今の課題である「拘束時間の削減」にも効果があります。
その昔、帰庫して机に向かって頭をかきながら日報を書くドライバーに、缶コーヒーを渡しながら声を掛ける管理者の姿は、安全につながる絶好のコミュニケーション機会であり、懐かしく微笑ましい風景。
カーナビも便利なもの。
その反面、道を覚えなくなりました。
トラックに乗務していた頃は、車中で室内灯を点けて地図のページをめくるのが面倒だから、必死になって道を覚えたものでした。
運転中にカーナビ画面を凝視することよる“運転室内における無自覚の脇見”は、危険な運転行動です。
カーナビも地図も、安全な場所に停車してから確認しましょう。
オートクルーズも便利なもの。
走行速度を一定に保つことで、速度管理を含む安全運行に寄与しています。
しかしながら使い方を間違うと、特に居眠り運転による重大事故が危惧されます。
車は人の移動時間を大幅に短縮しました。
トラックは大量輸送を可能にして、常に人々の生活や経済の発展に貢献しています。
車もトラックも便利なものですが、使い方を間違えれば危ないものです。
危ないものを危ないと思い、安全を確認しながら運転しましょう。
ありがとうございました。
次回は4月22日(金)更新予定です。
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