第89回 超繁忙期対策

繁忙期には「焦り心理や身体の疲れ」から、いつもの手順を省いて横着な仕事になりがちです。

「省いてしまう手順」の第一位は“確認”という行為。

その“確認”を省かなければ、必ず防止できるのがバック事故。

繁忙期にはお客様の構内でも混雑が予想されて「いつもよりも狭くなっている場所」や「いつもと違う場所」への、バック走行による接車も想定されます。

急いでいる時こそいつもの手順で、いつもの結果を導きましょう。

「手順を省かない=カクニンを省かない」ことを確認しましょう。

繁忙期には自分と周囲が安心する確認方法として「指差呼称確認」の実践を。

「自分への確認」と「周囲への合図」を省かないよう、繁忙期には「急がば回れ(車両一周確認)」と「急がば確認(指差呼称確認)」を安全の合い言葉に!

ひとりで乗務しているトラックの運転室内で、自分の感情を自分でコントロールできるのも「プロドライバーに求められる要件」です。

法律で義務化になっているシートベルトの着用と同じく。

どんなに先を急いでいても、確認を面倒に感じても。

自身がいつもの手順を実践することで、自力でいつもの結果を導くことがプロの仕事であり、プロを育成するためには定期的で定量的な教育機会が不可欠です。

私たちもトラックドライバー経験者ですから、「繁忙期ですが焦らないでください」とは言えません。

私たちの経験からも、逆に「繁忙期には必ず焦ります」と言い切ります。

たとえ焦っている時にでも、同じ仕事を提供できるプロになるために、常に繁忙期を想定した実践型の安全教育を目指しています。

繁忙期とは「日頃の安全教育の集大成」として、特に“確認の技術”を発揮する時期でもあります。

“確認の技術”により交通事故はもちろん顧客クレームを減らすことは、閑散期における受注量を増やすことにもつながります。

お客様の構内で待機時間が発生の場合には、体や目を休めることはもちろん、時間を有効活用しましょう。

運転室内では、整理整頓や気持ちを落ち着かせる気分転換を。

荷台の整理整頓やトラックを降りての整備点検を。

万が一の事態に備えて、スペアタイヤの状態や非常信号用具の確認を。

繁忙期にこそ点検と点呼で、トラックの整備状態とご自身の健康状態の確認を。

混雑すれば感情は「焦り」の状態に。

だから「焦り」が原因による交差点付近での追突事故防止を。

多忙になれば体調は「疲れ」の状態に。

だから「疲れ」が原因による高速道路上での追突事故防止を。

交差点では停まって確認。

高速道路では停まって休憩。

繁忙期にこそ「走り方より停まり方」にこだわりましょう。

繁忙期には道路渋滞の発生や待ち時間の発生により、運行遅延も予想されます。

「遅れた時間はアクセルで取り戻すのではなく、質の高い報告でお客様の時間ロスを最小限に留めましょう」

繁忙期に「省いてしまう手順」の第二位は“報告”という行為。

安全な場所に停車して報告を入れたうえで安全運行を再開することも、プロドライバーのマナーです。

ありがとうございました。

次回は2017年1月13日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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