第88回 ボチボチではなくコツコツと

運送会社において全社員が「安全を最優先にする」ためには「経営者の考え方・管理者の言動・ドライバーの行動」が同じ方法に向かうように、整えなければなりません。

全社員が「安全が最優先である」ことに気付くためには、下記の3つの方法があります。

  1. 重大事故に直面すること
  2. 教育や研修により学ぶこと
  3. 個々に年齢を重ねること

上記の2で気づいて言動や行動が変わるためには、定期的かつ定量的な教育により潜在意識までも変えることが必要です。

ドライバーが安全であることは、ドライバーの権利です。

ドライバーの安全を守ることは、管理者の義務です。

ドライバーが安全になるために受ける教育は、ドライバーの権利です。

ドライバーが安全になるために教育を実施するのは、管理者の義務です。

国からの義務として教育を実践するのではなく、管理者の義務として実践しましょう。

法律を守るために教育を実践するのではなく、ドライバーを守るために教育を実践しましょう。

安全にはお金が掛かりますが、安全は利益を生み出します。

安全には時間が掛かりますが、安全は時間を生み出します。

ある運送会社向けでの社員教育サポート契約が、開始寸前にキャンセルになったことがあります。

その理由を尋ねると「業績悪化のため」とのこと。

業績が悪化すれば、経営者が取るべき社内改善は、下記の3つの方法より選択しなければなりません。

  1. 社員の給料を減額する
  2. 社員の教育を充実する
  3. 社員の人数を削減する

本来は、業績が悪化すれば上記2の方法で、仕事の価値(受注と単価)を上げるべきだと思います。

経営者が上記1や3の方法を選択することは、経営者が社員に信頼や期待をしていないとも思えて、会社の方針に沿って働いている社員がかわいそうにも思えます。

さらには、事故が起こる前に計画的に掛ける「時と金」は事故防止活動であり、事故が起こってから掛ける「時と金」は不用意な支出です。

「時と金」を計画的に掛けることで、掛けた分以上の「時と金」を生み出します。

安全を継続するには力が要りますが、教育を継続することで力が付きます。

「1年間、毎日事故ゼロを達成すること」と「1年間、毎月安全教育を実践すること」とでは、どちらが必ず達成できますか?

教育が行動であり、安全が結果です。

教育が手段であり、安全が目的です。

安全確保と法令遵守は同じものです。

安全確保という目的を遂行するための手段が法令遵守です。

管理者が「1日5分」を社内の安全活動に使うだけでも、「1年で1,825分=約30時間」という時間を費やすことができます。

年次の安全大会を開催するよりも、毎日の点呼や毎月のミーティングの方が、ドライバーの記憶に残り安全確保に効果があります。

取り組みの少しの差が、時間が経過すれば大きな差になるということ。

少人数での差が、時間が経過すれば大人数での差になるということ。

コストを掛けない安全活動の推奨ペースは、ボチボチやトキドキではなく。

安全で一番になる運送会社になるためには、コツコツこそがダントツへの唯一の道です。

ありがとうございました。

次回は12月26日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
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