第175回 スイッチを切る

スポーツ選手などに向けたインタビューで「スイッチが入った」や「ギアが上がった」とのコメントを耳にしますが、「スイッチを切った」や「ギアを下げた」とはあまり使われないようです。

スイッチを切る

失敗すればだれかの命を奪う危険性のある運転や作業は、開始時にスイッチを入れるだけではなく、完了時にはスイッチを切りましょう。

例えば、目的地へ到着後には、運転のスイッチを切ってから作業のスイッチを入れましょう。

複数のスイッチを入れっぱなしの状態では「ながら仕事」になり、スイッチの数の分だけ「倍疲れて倍危険」です。

運転中でありながら。
到着後の作業の段取りを考えながら運転するのも「ながら運転」です。
運転中は到着までのことを考えましょう。

同様に荷役作業中でありながら。
出発後の経路を含む運行の段取りを考えてしまうことも「ながら作業」です。
作業中は出発までのことを考えましょう。

そのためには、スイッチを切るタイミングや切り方を確立しておくことも必要です。

「運転が完了=到着」や「作業が完了=出発」の気持ちのスイッチの入れ替え方法には、1秒以上掛けて実践するシートベルトやヘルメット、車輪止めの脱着を位置付けるとよいでしょう。

シートベルトを装着することは「カチッ」との装着音もあり、自身のモードを切り替えて「運転の姿勢」を正すことだけでなく、「安全への姿勢」を高めることにもつながる手順です。

ヘルメットのあごひもを締めることは安全の身だしなみであり、服装においても緩んでいないかを確認することで、品質に関しても身を引き締めることもできます。

車輪止めの装着は「見える安全と魅せる品質」としても評価を得られます。

行動とは違うことを考えるのなら、完全に停止した状態で安心して実践できます。

運転中に作業の段取りを考えるのなら、信号待ちでの停車を含むサイドブレーキを使用した状態で。

作業中に運行の段取りを考えるのなら、手には何も持たず地に足をつけた状態で。

そうすれば退屈な待ち時間も短く感じるのでおすすめです。

運転も作業も、考えている内容と行動の範囲を一致させることで考動にしましょう。

週明けや週末に交通事故が多発する傾向があるならば、週明けには休日を振り返ったり、週末には休日の予定を考えたり、“ながら運転”をしている可能性があります。

仕事の日と休みの日の切り替えスイッチに、週明けの始業点呼や週末の終業点呼の時間を活用しましょう。

もしくは週明けの点検の音や週末の洗車の音で、仕事の日と休みの日のスイッチを切り替えることもできます。

道の上での勘違いは重大ミスとして交通事故に直結するので、オートクルーズを含む運転支援装置を過信することで、運転中が移動中との勘違いをおこさないように。

また、走行距離が長い運行時や体力を消耗した作業後には、休憩し“ながら運転”にならないように。

自らがハンドルを握ってアクセルを踏む運転中とは、休憩中ではなく車両を操作して命のやりとりをする時間です。

ありがとうございました。

次回は6月26日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
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