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第176回 デジタコでほめる
万全の準備で安全に取り組み、日々「必然の安全」を達成しているドライバーには毎日必ず「ほめるべき理由」があり、その理由はデジタコのデータに日々反映されています。
デジタコでほめる
ドライバーの運行を記録するデジタルタコグラフ(以下デジタコ)とは、運行を管理するためのツールであることから、本来は管理者が主体的に活用すべきものと考えています。
その理由の一つとして、デジタコの成績により経営者からドライバーへの「賞金(年に一度の褒賞機会)」も次年度に向けての励みになりますが、管理者からの「言葉(日に一度の褒める機会)」により、ドライバーによる今日の反省と明日への改善につながりやすくなるからです。
もしくは、デジタコをドライバー主体で運用するならば「他の人との比較よりも昨日の自身との比較」をすることがお勧めですが、道路上での外的要因に対する許容性に差があり、自身への客観的な評価が求められる故、なかなか難しいものです。
また、ドライバー主体の運用では「安全な人はより安全に」なる反面で、「不安全な人は不安全のまま」になる放任状態も散見されます。
一年に一度の振り返りよりも、一日に一度の振り返ることの優位性として、デジタコで減点対象となった行動や原因を、まずはドライバーが帰社時に「認識していたか」を確認しましょう。
ドライバーが認識をしていながらルールを守れなかった場合は、その原因を確認して一緒に対策を考えましょう。
例えば、デジタコにおいて休憩スイッチへの切り替え操作忘れを防止するための対策には、車輪止めの脱着と、そのひと手間を入れる習慣も、よい対策になるでしょう。
もしもルールの認識ができていない場合は、そのルールの理由をいま一度説明したうえで、他にも理解していないドライバーがいないかも確認しましょう。
時間に関する労務管理とは事故防止のためであり、法律を守ることはドライバーを交通事故から守るための活動です。
上記を逆説にすると、ドライバーを守るために法律を守り、事故防止をするために労務管理を行うことになります。
その本筋さえぶれなければ、管理者からの厳しい指導もドライバーへの愛情表現として成立します。
法律に含まれる運行時間とお客様との約束である到着時間を同時に守ることは、出発前の準備を含む行動の計画が結果を左右します。
行動の計画とは、約束の時間から逆算して調整しながら考えて準備や仕事をすることです。
計画に失敗して「休憩時間を守れていない」ことは「到着時間を守らない」と同じ過失と位置付けて説明や議論を展開すると、ドライバーの理解や自主的な対策が進みやすくなります。
幾多の危険を回避しながら交通事故を起こさなくても、当たり前といわれるドライバー。
残念ながら交通事故を起こしたドライバーが叱られることは、当たり前かもしれません。
交通事故が起これば管理者がデジタコを確認するのは、当たり前のことです。
しかしながら交通事故が起きなければ管理者がデジタコを確認しないのは、当たり前の姿ではないと思います。
ドライバーの交通事故を叱る、ドライバーへのマイナス評価だけでなく。
ドライバーの安全運行をほめるような、ドライバーへのプラス評価を。
交通事故を起こしていないドライバーの中には、失礼ながら「偶然の安全」もあるかもしれません。
万全の準備で安全に取り組み、日々「必然の安全」を達成しているドライバーには毎日必ず「ほめるべき理由」があり、その理由はデジタコのデータに日々反映されています。
評価において、ドライバーにはプラスとマイナスの両方がセットであるべきです。
ありがとうございました。
次回は7月10日(金)更新予定です。
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