第177回 ただ運ぶだけなら

運送会社が「どのような安全の取り組みにより運送をしたのか」との道中の経過がお客様には見えないことから、安全には優劣が付きにくく、「予定どおりに到着した」との結果のみが見えることは、安全があたりまえと思われる要因であると考えます。

ただ運ぶだけなら

仕事において、最初の取引(信用)を得ることは難しく。
仕事において、以降の受注(実績)を増やすことも難しく。

難しいから仕事であり、誰にでもすぐに真似られるような仕事とは、誰かにすぐに取られてしまうことが多いものです。

運送会社におけるお客様との関係作りにおいては、長い年月の中で「助け合った」出来事はもちろん、両社の社員による「高め合えた」との実感が、これからも長いおつき合いが続く秘訣(ひけつ)だと思います。

厳しい表現になりますが、いつまでもただ運ぶだけなら、いつのまにか「ただの方がよい」と思われてしまうかもしれません。

さらには仕事の価格(価値)を上げることは難しく。
さらなる仕事の要望(期待)に応え続けることも難しく。

運送会社が安全であることは、会社(お客様)や社会(世間)から見れば「あたりまえ(プラスマイナスゼロの地点)」であり、品質にも取り組んだ結果により「ありがとう(プラスの評価)」を得られやすくなります。

運送会社の安全があたりまえと思われることは、お客様から運送会社が安全のプロとして認知されている点と、安全のプロに対する世間からの賛辞も含まれていると思います。

しかしながら、運送会社が「どのような安全の取り組みにより運送をしたのか」との道中の経過がお客様には見えないことから、安全には優劣がつきにくく、「予定どおりに到着した」との結果のみが見えることも、安全があたりまえと思われる要因であると考えます。

運送会社においても、お客様からの運送依頼があたりまえと感じていたならば「ありがとう」の気持ちを持つべきであり、お客様が喜ばれる「あたらしい」ことで「ありがとう」と言われることにも挑戦すべきでしょう。

価格が安いから運ばせてもらえるのではなく、価値が高いから選ばれるように。

社員の品質(付加価値)を高めることで、会社の売上が向上します。
社員の安全(事故防止)を高めることで、会社の利益が向上します。

売上と利益を確保することで、無理な運行を回避して交通事故を削減できます。

その好循環により、ドライバー不足と働き方改革への対応も円滑に進めることができるでしょう。

例えば付加価値といわれる作業も、ルールと教育により全員が同じサービスとして提供できれば「有償価値」に格上げができます。

そのような有償価値への格上げ活動において、運送会社が実践する対象項目の選定には「三つのできる」を優先するとよいでしょう。

  1. 誰にでも簡単に「できる」こと
  2. 新たなコストを掛けずに「できる」こと
  3. 全員で「できる」こと

具体的には下記の「三つの行動」から始めることをお勧めします。

  1. あいさつ
  2. 身だしなみ
  3. 車輪止め

他社がやっていないからやらないではなく。
他社がやっていないからこそやりましょう。

ありがとうございました。

次回は7月27日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
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