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第178回 ドライバー班長に期待されている役割
班長は班員とのコミュニケーションと管理者とのコンビネーションにより成立する職位です。班長の成長を期待するならば、役割を分担することから始めることがお勧めです。
ドライバー班長に期待されている役割
経営者から、班長職の定義や班長の育成について「思うような運用や行動が見いだせていない」との声を耳にします。
一方で班長からは、自分主観(ドライバー職)と会社主観(班長職)の間で気持ちが揺れ動いて、班長としての立場を明確にできずに発する言葉にも迷いが生じてしまうとのお悩みも耳にします。
迷いの理由には、「なぜ班長になったのか」との経緯が影響していることが想定されます。
「まとめ役」として期待された班長であれば、年長者や社歴が長い人が推挙されやすく、「伝える役」としての班長であれば、説明や会話が長けている人が推挙される傾向です。
また、班長になった背景には理想といえる「本人の意欲があふれて立候補」ではなく、「なんとなく拝命」や「しかたなく受諾」との理由も散見されます。
しかしながら経緯や背景は問わず、他のドライバーからすれば班長であり、上司から見ても班長です。
班長への登用により昇給になる場合は、今までの功績よりもこれからの期待であることが多いものです。
往々にして、過去の功績に対しては報奨金や退職金など、今までのことに対して一括で支払われるものです。
毎月得ている班長手当があるならば、これから(今月や今日)の業務に対する期待であり、その期待を超えることでさらに良い評価を得られます。
添乗指導員を担当する班長の活躍により、入社1年未満のドライバーによる交通事故が“年々半減ペース”で削減できた事例もあります。
車内での指導はもちろん、社内での“師匠と弟子の関係”から生まれる関心や“親と子の関係”にも似た愛情から生まれる厳しい指導により、早期離職を抑止している効果も大きな社内貢献です。
自らも乗務しながら班員の教育を担う班長は、さながら“乗務”取締役の位置付けです。
自らも乗務していることで、伝える手段としての最上位である「動くマニュアル」になれるのもプレイングマネージャーである班長だからこそできる教育方法であり、スポーツの試合でベンチ(社内)から指示を出す監督を管理者と置き換えれば、グラウンド(現場)で選手をまとめるキャプテンが班長の役割です。
上から目線ではなく横から目線で教えることで、相手の考え方や行動が見えてきます。
上から目線では指示で説明することに対し、横から目線では会話での説得も可能です。
誰よりも仕事ができるドライバー以上に、誰にでも仕事を教えられる班長を目指しましょう。
また、ドライバーとしての専門知識だけでなく、大人以上の社会人として一般常識も教えられる班長を目指しましょう。
班長は班員とのコミュニケーションと管理者とのコンビネーションにより成立する職位ゆえ、管理者が管理の仕事を班長に丸投げすることがないように。
特に、成り立ての班長に対して「会社の決め事を班員に伝える」と「班員に状況や本音を聞く」との二つの大役を、同時に求めることがないように。
班長の成長を期待するならば、その役割を「班員に伝える」もしくは「班員に聞く」のどちらかに絞り、管理者と役割を分担することから始めることがお勧めです。
管理者に期待する役割としては、上記の「伝える役」を担うのが望ましいと考えます。
ありがとうございました。
次回は8月7日(金)更新予定です。
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