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第179回 無災害を願い無事故は狙う
自然災害は発生を想定しながら減災の取り組みを展開し、交通事故は運転する人への安全の教育により、発生自体を遠ざけたり防止したりすることができます。「無災害を願い無事故は狙う」ために必要なこととは?
無災害を願い無事故は狙う
「災害が忘れる前に次から次へとやってくる」といわれるほど、近年は過去最大級と報道されるような自然災害が多く発生しており、いつでも何事にも油断できないような状況です。
車両を運転中は、交通事故の発生によりその人にとって人生最大級の危機に一瞬で陥る危険性があり、自然災害の発生有無に関わらずいつでも何人でも油断できないような状態です。
自然災害が発生すれば多くの人が被災者になりますが、交通事故には不幸な被害者だけでなく、世間から加害者として扱われる人が必ず一人は生まれてしまいます。
だからこそ、社会における自然災害への関心の高まりと同じく、社有車を有する会社としては社員が加害者にも被害者にもならないよう、交通事故が発生する前に安全の教育を実施しましょう。
残念ながら自然の猛威を前にすれば人は無力なもので、甚大な被害が生じる自然災害の発生は人の力で防止することができません。
そのような自然災害と比較して、交通事故は人的災害であることが多いものです。
自然災害には発生を想定しながら減災の取り組みを展開しますが、交通事故は運転する人への安全の教育により、人の努力で発生自体を遠ざけたり防止したりすることができます。
言い換えると、自然を相手にした場合は「無災害を願う」ことしかできませんが、人が対象の交通事故は「無事故は狙う」ことができます。
一方で、降雨による自然災害については事前に天気予報で危険を想定することができ、外出を控えたり避難の準備を確認したりするなどの対処ができますが、交通事故には予報がなく前触れなしに発生するものです。
しかしながら、交通事故を含むトラブルやミスを起こしそうな日には、なんとなく「虫の知らせ」を感じることもあるようです。その予兆を一番先に感じるのは本人でありながら予兆から目を背けていることも多く、残念ながら本人以外には予兆の有無を判別しにくいものです。
運送業界の活躍は、自然災害の発生時にはその様子が日常よりも数倍増しで報道されるため、社会で広く認知をされます。
平常時から経済や生活を支えている運送業界の存在は、水や空気と同じく欠かせない機能として、社会においては良い意味でも悪い意味でも「当たり前」の存在です。
運送会社のドライバーが平常時と同じ仕事をしても、自然災害発生時には「ありがとう」と数倍増しでの称賛や感謝をされます。
ライフラインとして代表的なのは「電気・ガス・水道」ですが、それらに続く二列目のライフラインとして「電話・インターネット・運送」が思い浮かびます。
上記のライフラインの中で、届ける人の姿が見えるのが運送であり、働く人の力や温かさをじかに感じられるのも運送です。
自然災害により「道路寸断→人が移動するための交通が寸断」だけでなく「道路寸断→人が人に物を届けるための物流が寸断」と解釈されるようになるためにも、運送業界は「運ぶ安全」だけでなく「届ける品質」にも日ごろから取り組まなければなりません。
運送会社で働く人も多忙な日々の中で「物を動かす」ことに躍起になり、いつしか「人に届ける」との運送の仕事の本質を忘れることがあるかもしれません。
運送業界の「人に届ける」との使命を思い返すことも、自然災害などの有事発生時なのかもしれません。
ドライバーへの安全教育も、自社のドライバーが交通事故を起こしてから開始したり再開したりすることも散見されます。
自然災害の有無に関わらず、今日もいつもの目的地へ向かうドライバーがいます。
いつものようにドライバーの無事の到着を待っておられる配送先の皆様がいます。
今日も無事の帰着を待っている運送会社の管理者やドライバーのご家族がいます。
自然災害や交通事故が発生する前に、社内で誰かが発声しましょう。
運送業界の使命とは人の命をつなぐこと。
運送会社の使命は働く人の命を守ること。
ありがとうございました。
次回は8月21日(金)更新予定です。
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