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第61回 中堅・中小企業の創造性と機動力
“あったらいいな”を考えて(創造性)、“カタチ”にする早さ(機動力)。
「試行錯誤と優柔不断」や「即断即決と朝令暮改」の違いは紙一重であり、行為は似ていても結果により表現が変わります。
自社の商品を伝える表現方法もさまざまです。
運送会社における商品とは、トラックではなくドライバーです。
トラックが商品と言い切れる業種は、中古車センターですから。
また、倉庫における商品とは、建物だけではなく倉庫員とのセットで商品です。
建物が商品と言い切るならば、その業種は不動産業に該当するでしょう。
このように人が商品である運送・物流会社においては、商品の価値=人の価値。
人の価値=会社の価値を高めるには、社員教育により知識を得て意識を高めることも方法のひとつ。
「どんな教育(項目・レベル)を、どれぐらい(期間・回数)、どんな状況(感情・姿勢)で受けたのか」が、社員教育の成果を左右するようです。
アイデア(創造性)を、すぐに全員に浸透(機動力)させてサービス商品にするのは、コストが掛からない分野においては中小規模の企業の方が有利です。
サービス商品における最大の品質とは、「いつでも・だれでも・どこでも」同じサービスが提供できること。
荷役作業や運転の技術だけでなく、あいさつや身だしなみに代表される接客マナーについても「社員のバラツキ」が無いことが品質の第一歩。
運送業界では「運賃はベテランドライバーでも新人ドライバーでも同額収受」が慣例になっています。
ドライバーの品質の違いついてのお客様の心理は「良いドライバーが来てくれたから得をした」ではなく、「良くないドライバーが来たから損をした」と思われることも。
中小規模の企業と比較して、大手の企業は社内での競争原理も強く働き、会社の業績や社員の待遇は安定していたとしても、働き抜くのは大変なことだと察します。
だからこそ社員が得られる安定には、社外から見える努力以上に価値が有ると敬意を表します。
大手の企業では規律やコストを徹底的に管理されることで、社員が鍛えられます。
中小規模の企業では同時に多様なポジションを担わなければならないことでも、社員が鍛えられえます。
社員への期待の表れであり愛情表現の方法である教育も、社員を鍛える方法。
社員教育を手段として事故ゼロを達成することや、全員が同じレベルの接客マナーや荷役技術を提供するなどの効果を早く出すには、少数精鋭の方が圧倒的に有利です。
そう考えると、社員教育が必要なのは大手の企業の方。
言い換えると、社員教育で効果が出るのは中小規模の企業。
大手の企業にとって、社員教育は“守りの手段”です。
中小規模の企業にとって、社員教育は“攻めの手段”です。
大人と子どもとでは「感性や好奇心」が大きく違うように。
大手の企業の小型版が中小規模の企業だと決めつけるべきではないと思います。
大手の企業にはできることがあります。
中小規模の企業にしかできないこともあります。
並外れた資金力が無ければ手を出せない業種もありますが、それぞれに事業規模に応じた得意分野と適したやり方が有ると思います。
ありがとうございました。
次回は11月27日(金)更新予定です。
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