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第159回 事故待ち指導になっていませんか
事故の経験をしたドライバーだけが、その反省から自主的に安全になることだけでなく、全てのドライバーへの安全の教育により、全員で完全な安全を目指せる条件が整います。交通事故防止を含む安全においては躊躇(ちゅうちょ)なく指摘を行い、失敗を未然に防止してドライバーを安全に導きましょう。
事故待ち指導になっていませんか
道の上では、危ないものを危ないと思い、近寄らないこと。
社内では、汚いものを汚いと思ったらすぐに片付けること。
同様に、おかしいことはおかしいと思って指摘をすること。
事故が起こっても、かばい合うだけの組織は仲良しクラブの領域です。
事故が起こらないように、時に指摘をし合える組織が本当の仲間です。
言葉での指摘に終わらず、社員の教育や社内の改善をするのが本来の管理者の役割です。
教育や改善の始まりは会話であり、会話の前に挨拶があり、挨拶の前に名前を付けることが礼儀であり仲間の証しです。
会話では指摘だけでなく、「どのようにやるのか?」との手順の前に「なぜやるのか?」との理由も親身に説明することが必要です。
説明により理解以上の納得を得ることが親切な指導で、納得を得るために繰り返すのが丁寧な指導です。
考えていることを言葉にして、相手の行動に良い影響を与えることが教育の効果です。
失敗の経験によりルールが作られて、ルールを実践して失敗しないようになるために教育の機会が創出されます。
ルールとは行動に迷った時の優先順位や判断基準を示すものであり、定められたルールに沿って行動できるようになることが教育の効果です。
事故の経験をしたドライバーだけが、その反省から自主的に安全になることだけでなく。
全てのドライバーへの安全の教育により、全員で完全な安全を目指せる条件が整います。
よって、交通事故防止を含む安全においては躊躇(ちゅうちょ)なく指摘をして、失敗を未然に防止してドライバーを安全に導きましょう。
そうはいっても、管理者が発する言葉の表現方法や選択は、さまざまな考え方や立場にあるドライバーを想定すれば難しいものです。
多くの人にとっては「超ストライク」の判定が、その人にとっては「デッドボールのど真ん中」として扱われることもあります。
しかしながら、野球ではバットを振らなければボールに当たらず。
サッカーではシュートを蹴らなければゴールネットは揺らせず。
ゴルフではパターは強めに打たなければカップに届かず。
指摘では言葉に出さなければ相手の心に届かず。
指導では強く伝えなければ相手の記憶に残らず。
言葉の配慮はしながらも、機会の遠慮はせずに発信しましょう。
「迷ったら言う」との決め事により指摘をする勇気を持てます。
少々おせっかいに思われるぐらいがちょうど良い加減です。
事故が起こってから指摘をするのは「事故待ち管理」です。
事故が起こったから指導をするのは「事故待ち指導」です。
日ごろから安全を会話で伝えることで、一人一人が安全を正しく理解できます。
安全の会話により、ドライバーの「事故をしたくない」との熱意が管理者に伝わります。
安全の会話により、ドライバーに「事故をさせたくない」との愛情を管理者が伝えることができます。
会話を継続すれば会話をする習慣が会社の風土になり、相互信頼により社員が定着して社内が安定することで、安全な状態がさらに継続します。
ありがとうございました。
次回は11月1日(金)更新予定です。
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