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第158回 理不尽との付き合い方
勉強することも仕事のうちと位置付ければ、仕事をしながら勉強を続けることは“許容範囲内の理不尽”と解釈できて、集中力や突破力をさらに身に付けることができるでしょう。
理不尽との付き合い方
唐突な質問ですが、「子どもの頃の夢は何でしたか?」と聞かれたら……。
その回答にためらいつつ、その頃に就きたかった職業が脳裏に浮かびます。
夢のような話ですが、「もしもタイムマシンで子どもに戻れて人生をやり直せるとしたら、子どもの頃の自分にどんなアドバイスを送りますか?」と聞かれたら……。
過去の入学や就職、また転職などの人生の転機の場面を思い浮かべて「始める決意」や「やめる決断」をささやきたくなります。
ふとしたことから、自身の子どもの頃を思い返しました。
自分がやりたくないことを理不尽なことと決めつけてしまうことが多く、大人からの助言を素直に受け入れることが苦手な子どもだったと思います。
授業中に一人で感じていた理不尽に、うまく適合できないことも。
歴史の授業で熱く語る先生に対して、「過去の話には興味がないので、これからの話をしませんか」と切り出したことは、“若気の至り”に値する年齢に達する前の幼心ゆえの発言だからと、許容されない態度でした。
社会に出たらルートの計算方法や暗記した化学式は使わないのに、なぜ学校では計算や暗記を繰り返さなければならないのかとの疑問から、自分の判断で勉強を中断してしまうことも。
しかしながら、たとえ理不尽に感じることでも理不尽と思わずに取り組める習慣を身に付けることは、学生時代の勉強から得られた能力だったようです。
体を使う運動では、高い目標に挑むための厳しい練習で培われる「忍耐力」が身に付きます。
その努力の経験は、必ず社会に出てからも身を助ける場面に遭遇するものです。
頭を使う勉強では、社会に出てから発揮できる「考え抜く集中力」や「難問に挑む突破力」を高めることができるのでしょう。
勉強により体得した努力の方法も社会に出てからは必要な能力であり、その能力を遺憾なく発揮することで、会社から必要な戦力として評価されます。
また、会社員として携えるべき感覚とは、考え方では会社で生き残るための「上司に対する忠実」と、働き方では会社が勝ち抜くために「上司を超える気概」の両面を持つことだと思いますが、文字で並べて書けたとしても、両方の実行は難しいものです。
特に事業の内容や規模によっては、上司からの「初志貫徹が大切」と「臨機応変に対応」との指導が入り交じり、経営者の朝令暮改を超えるスピード感も相まって、現場で受ける指示も二転三転することもあると思います。
迷いつつ一喜一憂しながら、悩みつつ一進一退の日々を過ごすこともあるでしょう。
法律を守りなさい、そして効率を上げなさい。
時短を進めなさい、さらに売り上げを上げなさい。
部下に優しく接して、指導は厳しくしなさい。
相反する考え方や進め方は理不尽なことと思い込み、ムリだと思うことへの努力はムダと嘆きたくなり、仕事への意欲にムラが生じることもあるでしょう。
そのような職場で発生する理不尽にも、バランスよく適合できる能力は忍耐力であり、集中力と突破力です。
会社が申し込んだ研修に参加して、多忙な中、業務から離れてまで勉強を強いられることを理不尽だと捉えることもあるでしょう。
社会に出てからの勉強は、仕事に必要な知識や情報だけではなく。
その勉強は集中力(継続力)や突破力(改善力)を高めるだけでなく、時に忍耐力(適応力)も磨くことができます。
自身が勉強により得た能力により、誰かが理不尽に思うことを解決して、誰かの理想を追求するのが仕事です。
現在も、学生は勉強をするために授業料を支払っていますから。
これからも、社会人は勉強を続けながら給料をもらえますから。
勉強することも仕事のうちと位置付ければ、仕事をしながら勉強を続けることは“許容範囲内の理不尽”と解釈できて、さらに集中力や突破力を身に付けることができるでしょう。
ありがとうございました。
次回は10月18日(金)更新予定です。
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