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第120回 ドライバー不足には採用よりも教育を
運送業界でのドライバー不足はますます深刻であり、さらには管理者も不足傾向との状況も散見されるようになりました。ドライバー不足への対応や、準中型免許の活用を含めた若年層への求人活動が可能になる条件として、「面接時に仕事の説明をする運送会社」ではなく「採用後に教育ができる運送会社」が求められます。
ドライバー不足には採用よりも教育を
業界を問わず「人不足」が叫ばれる中、労働集約型産業である運送業界でのドライバー不足はますます深刻であり、さらには管理者も不足傾向との状況も散見されるようになりました。
ドライバー不足への対応や、準中型免許の活用を含めた若年層への求人活動が可能になる条件として、「面接時に仕事の説明をする運送会社」ではなく「採用後に教育ができる運送会社」が求められます。
その理由は、社内で社員が社員を教育できることにより、求人募集時の採用枠を広げることができるからです。
運送会社は求人募集時での掲示待遇を良くするためにも「安全だけでなく品質」にも取り組みましょう。
採用後の安定収入のためにも「採用だけでなく教育」にも取り組みましょう。
面接時の会話においては、面接担当者が発する言葉に説明と教育の違いがあります。
「経験者優遇」と掲載している運送会社は、面接時に「仕事の内容を説明」しています。
「初心者歓迎」と掲載している運送会社は、面接時に「会社の教育方法を説明」しています。
やるべき教育の項目は、新人ドライバーの姿に表れます。
新人ドライバーが「聞きたくても聞けない」疑問点は、教育すべき項目です。
やるべき教育の方法は、先輩ドライバーの姿に表れます。
先輩ドライバーが「知っていてもやらない」ルールは、教育の方法を見直すべきです。
言い換えると「先輩ドライバー以上の新人ドライバーは育たず」。
掲示されているルールと先輩ドライバーの行動にかい離があれば、新人ドライバーは会社に対して「不安→不満→不信」を抱くようになり、早期離職にもなりかねません。
また新人ドライバーが教育期間を終えても「指導されていない点」が残っているならば、先輩ドライバーも実践できていない(会社から指導されていない)ことが懸念されます。
社内で面接のロールプレイングを実施すれば、現在の社内を客観的に観ることができます。
例えば「大手運送会社で教育を受けて長年勤務された素晴らしいドライバー」が面接に来てくれたと想定しましょう。
前職では当たり前のように実践されていた安全や品質へのこだわりを「当社ではやらなくてよい」や「当社ではやっていない」と説明するのは、迎える運送会社にとっては少々恥ずかしいものです。
やる気がある未経験者が面接に来てくれたと想定しましょう。
「運送会社の仕事の内容ややりがい」をどのように説明するかを各自で考えて言葉に出すことも「現在の仕事と自社の教育の棚卸し」に通じます。
また未経験者を採用したと想定しましょう。
「誰がいつどのように何をどれぐらい教えるのか」をシミュレーションすることで、今の教育(受け入れ)体制を知ると同時に、先輩ドライバーへの教育の重要性もご理解いただけることでしょう。
まさに「先輩ドライバー以上の新人ドライバーは育たず」です。
そこで、安心して今より長く働ける職場作りには安全の教育を。
そして、安定して他社よりも稼げる職場作りには品質の教育を。
ありがとうございました。
次回は4月6日(金)の更新予定です。
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