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第59回 ドライバーの人事考課には添乗指導
社内での清掃活動にも励み、洗車や整備をしてトラックを大切に扱うドライバーは、社外でお客様の商品も大切に扱います。
社内で周囲の人に気遣いができて、思いやりを表す行動ができるドライバーは、道の上でも車内で思いやり運転ができます。
このような、すばらしいドライバーに、その貢献度に応じた評価をして称えたいと思うことは、上司である前に人としても自然なことです。
それでは、どのように評価すべき(褒めるべき)でしょうか?
私のような“ふた昔前”のトラックドライバーなら「事故を起こさず・時間に遅れず・商品を潰さず」さえを守っていれば、叱られることは無かった時代。
ただし褒められる機会も少なく、失敗すれば人生を棒に振るほどの責任を負わなければならないリスクがあることは、現代にも通じる共通点。
また「叱られず・褒められず」では、人の成長が停滞気味になることも、昔から言われる教えのひとつ。
そこで管理者の皆様に質問です。
「ドライバーをどのように褒めていますか?」
褒めると似た意思伝達の表現方法では「感謝や労い」が挙げられますが、今一度、褒めることにも注力してみましょう。
褒めるためには「叱る基準」だけでなく、「褒める基準」が必要です。
「褒める基準」の一例として「新入社員ドライバーへの指導や同僚ドライバーの模範となり、会社の事業継続に必須な人材育成に貢献しているか?」を取り上げてみてはいかがでしょう。
その前に「自分のことは自分でできる一人前のドライバー」であり、「社内で決めたことは社外や車内でもできる」ことが「褒められる基準」の必須条件。
その基準に適合しているかや、その基準を超えているかの全てを同時に確認できるのが添乗指導です。
添乗指導は、ひとりのドライバーに対して1年間で1時間でも良いです。
室内で行う個別面談の実施と同様に、車内で行う添乗指導の実施に向けて、管理者がその時間と手間を惜しまないことが、ドライバーへの愛情表現とも言えるでしょう。
管理者の安全への熱意が管理者自身の時間を創り、社員教育の工夫と継続がドライバーの成長に拍車を掛けます。
ドライバーの安全行動と挨拶や身だしなみを含む接客マナーをも評価をすることで、あいまいだった社内ルールの見直し機会につながることも。
○(=安全)の姿を決めて、全員が○(=安全)になるよう教育をしましょう。
○(=安全)の姿以外は×(=不安全)と評価をして、個々に再教育をしましょう。
ある項目に対して全員もしくは多くのドライバーが「×の評価」の場合、対象となる社内ルールが制定されていなかったり、制定されていても機能(認識されていない)していなかったりすると考えれば、管理者の指導方法を再教育すべきと気付くこともできます。
人事考課をきっかけに、添乗指導が始まります。
添乗指導をきっかけ、安全に関するに1対1の対話が始まります。
個々の添乗指導報告書は、適性診断や健康診断と同じく個々の心身の変化を映すものであることと同時に、個々の仕事への「考え方×努力=行動習慣」が表われます。
添乗指導報告書は個別の指導に活用できることと同じく、個別の評価に活用することができます。
できているドライバーには評価して、その行動を継続するように促しましょう。
最後に、できていないドライバーに対して放置せずに指導して改善することは、「できているドライバーへの良い評価(感謝や労いの表れ)」でもあります。
ありがとうございました。
次回は10月30日(金)更新予定です。
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