第67回 品質の矛と安全の盾

「出張前にご自身で手配されるホテルは、何を基準に決めていますか?」

「接待で大切なお客様をもてなすお店は、何を基準に決めていますか?」

ホテルやお店を選ぶ基準として「まずは立地、つぎに値段」が挙げられると思いますが、「立地と値段の間に基準が有るならば何でしょうか?」

「ホテルなら泊まるだけだし、お店なら食べるだけなので特に問わない」とお考えの人もいるでしょう。

しかし、サービスを受けたり商品を買ったりする相手を決める際には、自ずと比較をして決定したり、状況に合わせて使い分けていることが多いようです。

良いホテルと良くないホテル、良いお店と良くないお店。

同じ金額を支払うのなら、誰もが良い方を選ぶはずです。

言い換えると、支払う側は常に対価に見合ったサービスを求めているとのこと。

支払われる側が対価を上げるためには、対価に見合うサービスを提供すること。

ホテル選びで「とにかく安くて寝られたら良い」との選定条件が有るとすれば、運送会社選びに置き換えると「とにかく安くて運べたら良い」になります。

しかしながら「とにかく運ぶ」ためにも安全が必須条件であり、言い換えると安全だけでは“少しでも安い方が選ばれる値段競争”に巻き込まれてしまうことも否めません。

「とにかく安全に運ぶだけ」ではなく。

いかに品質良く届けるかが、顧客が支払う対価(運賃)に比例しているようです。

運送業界として、行政への陳情や世間への要求を続けることも重要なことです。

しかしながら。

その前に、運送会社として社内でやるべき努力や、努力してできることが有ります。

国が「法律以上の安心と認める安全」が、ドライバーの健康と会社を守る盾(たて)になります。

お客様が「満足以上の感動と称する品質」が、ドライバーの生活と会社を守る矛(ほこ)になります。

自社の努力で安全と品質の両方を高めることは、矛盾ではなく。

目の前の仕事と、少し先を見据えた教育は両立すべきこと。

安全は「仕事の量」にも比例します。

なぜなら、安全ではない運送会社に仕事の依頼は来ませんから。

そして品質は「仕事の単価」に比例します。

自社内で安全と品質に取り組む努力をせずに、ドライバーの健康や生活の向上を求めることには、いささか矛盾を感じます。

だから私たちの研修では全員で努力をします。

安全に関する防衛運転はもちろんのこと、正しい挨拶の唱和訓練もドライバーの生活を防衛する手段以上の条件です。

「ドライバーが提供する挨拶のやり方が自身の生活に与える影響」について、事前に事例を交えて説明をすれば、どちらのドライバーも納得の上で大きな声で“全力実践”されています。

最後に、一流料亭と大衆酒場を比較して「料理の味」と「おもてなし」のイメージの違いを比較してみましょう。

飲食業界においては「味の良さ×サービスの良さ=価格」であり、左記図式の三項目は比例していることが多い。

また、味とサービスが一流のお店には、他店より高額設定でも行列ができるようです。

もうひとつの共通点として、一流のお店には求められるレベルが高く、それゆえにお客様からの要望やクレームも多いようです。

特にクレームを「お客様からの期待」と捉えて、たゆまぬ改善に取り組むことで実力が付き、評価が上がり価格(価値)を維持して社員の生活を守ることができているのでしょう。

運送会社の味が安全なら、おもてなしは品質。

そう考えると、安全に取り組む運送会社はドライバーの品質も良く、他運送会社より運賃が高くても選ばれていることも理解ができます。

まさに「安全×品質=運賃」であり、安全が良くても品質がゼロやマイナスの評価ならば、運賃の上昇は期待しにくいと言えます。

「安全(仕事の量)×品質(仕事の単価)=給料」とも言えます。

ありがとうございました。

次回は2月26日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送・物流会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止やマナーアップを含む輸送品質の向上に取り組み、経費削減はもちろんその取り組みを営業活動へ転化して売り上げが向上するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として2014年には698回講演。
また、全日本トラック協会主催の全国トラック運送事業者大会における交通事故防止対策の分科会で、2年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員。
各都道府県のトラック協会や青年部会の各ブロック大会での講演多数。
プロデキューブ
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