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第66回 渡しと防波堤の役割
残念ながら、交通事故に関与してしまったドライバーには、このように伝えています。
「運が“悪かった”から事故を起こした」と考えるのではなく。
「運が“良かった”から事故を起こしても生きている」のです。
自分が“生かされている意味”を考えて、今まで以上に自分を大切にしましょう。
交通事故防止対策は、上記の伝え方を含む事故惹起者への個人指導が必要な場合と、全体改善が効果的な場合の二通りに分かれます。
管理者による職場環境の改善で、ドライバーの安全習慣を改善できれば、それは素晴らしいことです。
たとえば、社内で不特定多数のドライバーが頻繁に交通事故を起こしている場合など、交通事故の原因が当事者以外にも起因すると想定される場合には……。
教える人(=管理者)の教え方と、教わる人(=ドライバー)の教わる姿勢を改善すれば、安全性は確実に高まります。
ちなみに、教え方を磨くのは管理者であり、教わる姿勢を教えるのも管理者。
管理者の機能を侮ってしまい“真の事故原因”を社内で生み出してしまっているのが、交通事故が多い会社や事業所に散見される残念な共通点。
管理者による一番簡単な改善方法は、社内での会話の質と量を改善すること。
社内での会話の共通点は安全であり、会話が弾むきっかけは品質。
管理者が全員に“言う以上に伝える”こと、全員に“指示ではなく質問”で確認すること。
研修先では、交通事故や品質向上の研修を定期開催することを“良いこと”と思っていない人に出会うことも。
「その前にやるべきことがあるじゃないか!」と述べられることも有ります。
その“勇気ある貴重な声”から目と耳と体を背けるのではなく。
仰せの通り“その前の段階”から改善を始めます。
「社内で溝が有るなら、私たちが“渡し”になる」
「社内で波がぶつかるのなら、私たちが“防波堤”になる」
それが私たちの機能であり、その先に全員参加による安全や品質の向上があり、その先に配送先様を含むお客様からの評価が変わり、その先に生活の向上を実感していただき、その先に私たちへの評価があります。
意見(感情)と行動(努力)を合わせるために。
価値(自分)と評価(相手)を合わせるために。
社員からの意見とは会社への愛情から生まれるもの。
“もっともっと”会社を好きになっていただくことが、私たちの役割です。
会社(=仕事)を好きになれば、仕事道具に愛着が生まれ仕事が上達します。
管理者が会社を好きになれば、社内(構内や事務所内)の整理整頓に励むようになります。
ドライバーが会社を好きになれば、トラックの美化や整備に励むようになります。
管理者による構内の整理整頓は、ゴミを「探して・拾って・捨てる」ことから始めます。
安全や品質は足元から整えるもの。
誰かに足元を見られる前に、ご自身で足元を見つめ直しましょう。
もしも交通事故が発生する前に確実な予兆が有るならば、交通事故が起こりやすい職場にも特徴が有ります。
だから交通事故防止活動の一環としても、構内の整理整頓に取り組みましょう。
安全は人との会話と、物への愛情により高まります。
最後に人と物を大切にする運送会社の共通点を。
それは景気に左右されることなく、着実に売上と利益を伸ばしておられることです。
ありがとうございました。
次回は2月12日(金)更新予定です。
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