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第65回 伝えることも組織力
おかげさまで、2015年には運送業界において800回を超える社員研修を担当しました。
前期と比較して研修回数が増加した要因のひとつとして、管理者向けの研修ニーズが高まっていることが挙げられます。
当社への研修ニーズは、運送業界の“お悩みごと”と捉えています。
同時に、管理者の育成によってドライバーの育成につながることが、全国的に立証されている証拠かもしれません。
当社が担当する管理者向けの研修では、一貫して伝え続けていることがあります。
1.まずは伝えること
【1】正しく伝える
【2】全員に伝える
【3】早く伝える
2.つぎに確認をすること
【1】知っているかを確認(知識)
【2】やっているかを確認(実行)
【3】できているかを確認(習慣)
伝えることだけでなく確認することを通じて、各社内に会話が多く生まれています。
そこに社内で共通のルールがあれば、その社内ルールが共通の話題としてさらに会話を生み、会話が弾むきっかけにもなっています。
管理者とドライバーとの会話の質と量が高まれば、ドライバーが安全になれます。
管理者は会話を通じて「正しく・全員に・早く」伝えることに、こだわりましょう。
掲示物等で一斉に伝えるだけでなく、管理者が会話で個別に確認をすることで、ドライバー全員に正しく伝わりやすくなります。
「正しく・全員に・早く」伝えられることも、組織の機能を示すバロメーター。
正しく伝える精度が低下したり、伝わる速度が鈍化したりすれば、「小さな組織(企業)が、大きな組織(企業)に勝てるものは無し」とも考えています。
「正しく・全員に・早く」伝えることとは教育そのもの。
社員教育とは、社員への期待(真面目に取り組んでくれるだろう)と信頼(長く働いてくれるだろう)の証。
現時点では、社員教育を少し縁遠いものに感じている運送会社が少なくないのも事実。
しかし、運送会社において利益とは安全教育の結果であり、売上とは品質教育の成果であるということ。
景気が上向くと仕事が増えて運賃と売上が上がり、相乗して利益が出る体質の運送会社ならば、景気に左右されやすく事業の行く末も他力本願。
また“社員教育の機会がある運送会社”であることは、売上や利益を創出するためのドライバーの新規募集や採用の枠を広げる条件でもあります。
たとえば、未経験者を“一人前のドライバー”に育てるには社員教育。
一人前以上の“誰かに教えられる二人前のドライバー”に育てるのは社員教育。
一人前以上の“一流のドライバー”に育てるのも社員教育。
社内での絶え間ない社員教育の実施が、運送会社の存続には不可欠であることを唱えることも、私たちの使命だと心得ています。
そして、運送会社における社員教育の中心にいるのが「中間管理職ではなく中心管理職」の皆様です。
ありがとうございました。
次回は1月29日(金)更新予定です。
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