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第68回 運送会社は目が命
運転中のドライバーは「認知(予測)→判断(確認)→操作(反応)」の繰り返し。
状況を細かく認知して正しく判断するためには「動体視力・深視力・瞬間視・周辺視」などの“目の力”が求められます。
特に夜間走行時には、加齢等による視力の低下が交通事故の原因になることも。
夜のメインストリートでは、車の隙間から“高速自転車”が飛んでくることも。
飛んでくる“高速自転車”の動きは予測ができないので、トラックの運転方法を“危険予測をしない運転”に切り替えて対処しましょう。
その運転方法とは“停まって目視で確認をする運転”
「目視で安全が確認できなればトラックを動かさない」との運転方法。
予測運転以上に安全な目視運転です。
その昔、「芸能人は歯が命」ってCMがありました。
昔から変わらず、「ドライバーは目が命」ですから。
ドライバーは、道の上の危険を発見する目が自分を守ります。
道路上における周囲の異常を、誰よりも早く察知して安全に対応すること。
品質における自分の乱れを、誰からも察知される前に気づいて改善すること。
「管理者も目が命」
点呼時を含みドライバーの異常を見抜く管理者の目が、ドライバーの命を守ります。
目の前の仕事に追われるだけでなく。
少し先を見据えた“教育により得た安全や品質”を武器にして、仕事を選びながら追うことも、これからの配車業務にとっては不可欠なことだと思います。
そのためには。
まずはドライバーが研修を受講して、学ぶ機会に慣れることが必要です。
ドライバーが学ぶ機会に慣れれば、学べないことに不満が出るものです。
学ぶ機会が義務ならば、義務教育を受けていないことを、いつか後悔する日が来るかもしれません。
運送会社における教育機会とは、ドライバーへの期待の表れであり最大の愛情表現です。
そして「経営者にとっても目が命」。
少し先の運送業界を取り巻く環境を正しく見定める目。
会社の目標が無ければ、社員の挑戦がなく成長なし。
会社の目標が無ければ、社員は慢心からの後退のみ。
物流インストラクターである「プロデキューブも目が命」。
研修を担当する前には構内で“見学以上の観察”をすることが私たちのルーティン。
現場を見ずに研修を担当することは、できれば避けたいもの。
車輪止めの実施状況や洗車場の整理整頓を確認して、その前の感情とその先の行動を読む。
安全の原点は変わらず基本はシンプルで不変のもの。
安全を誓った時の思いが、変わっていないかを確認。
思いや意識とは気持ちと同じく、目では見えないもの。
行動結果を見ることで“見えない意識”が見えてきます。
行動結果の中でもマナーには気持ちが表われやすいもの。
あいさつや身だしなみ等のマナーが低下している時は、安全も低下している時かもしれません。
その時点で管理者が気づいて、ドライバーの行動を修正できれば。
ドライバーの交通事故につながる危険行動を、管理者が未然に防ぐことができたということです。
ありがとうございました。
次回は3月11日(金)更新予定です。
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