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第69回 書類の作成も安全と品質
運送会社から社外に提出する書類の代表例は、見積書や提案書などの営業系と、顛末書や始末書などの謝罪文。
このような提出書類の作成も、管理者の業務のひとつとして挙げられます。
提出書類の作成とは「会社の代表として社員の総意を書類で伝える」ことであり責任重大。
しかしながら、書類をメールで添付送信してから作成ミスが発覚して再送信をしたり、印刷プレビューでの確認時には気づかなかったミスを印刷してから気づいたりすることは、誰しもご経験があるのでは?
書類の作成時にも「伝える技術」を高めれば、相手に自社やご自身の意図が正しく伝わります。
同じ目的で作成された書類を比較すると「良い点・良くない点」が見えやすくなります。
言い換えると、お客様から「相見積り」を求められた際には、ライバル社から提出された書類と、同じ机に並べて比較をされているかもしれません。
運送会社の管理者として、書類の作成にもこだわってみましょう。
他の人が作った書類とご自身が作った書類では、どちらが相手に正しく伝わるかを比較する習慣。
最初に作成した書類とミスに気づいて修正後の書類を作成時の、ご自身の体調や感情や知識の違いを比較する習慣。
体調や感情や知識が結果に影響を及ぼすことは、ドライバーの交通事故要因と同じこと。
そこで書類の作成時に留意すべき手順を紹介します。
【1】正しいこと→日付や料金等の数字が正しく、文字の表現も適切で、相手に正しく伝わること。
【2】美しいこと→レイアウトや文字の大きさ等のバランスが良く、相手が見る気になること。
【3】早いこと→相手に早く提出することで、相手に誠意とやる気が伝わること。
提出が早くても、間違いだらけで見にくい資料は、その機能を果たしません。
まさに「正しさ×美しさ=早さ」
ドライバーに求める仕事の優先順位である【1】正しいこと(安全)【2】美しいこと(品質)【3】早いこと(効率)と同じこと。
例えば、“一見して気づけるようなミスが修正されずに送られてきた書類”を見た相手の心理を想定しましょう。
残念ながら「雑な資料」と判断されてしまいます。
相手が多忙で複数の仕事を同時に進めている場合には、「確認が必要=信頼性が乏しい」として、相手がとる行動は下記の2パターン。
【Aパターン】他の仕事が落ち着いた後に「じっくりと確認」
【Bパターン】見る気が失せてしまい「真剣に見ない(放置)」
上記の2パターンにより、相手における確認や、相手からの反応(回答)が遅れることは否めません。
人がやることなので「絶対にミスをしないように」とは申しませんが、「ミスが有るかもしれない」と思い、ミスを探しながら書類を確認しましょう。
確認の方法は、ドライバーに求める確認の優先順位である【1】複数人で確認【2】複数回の確認【3】指差呼称確認と同じこと。
確認のやり方と回数を高めることにより、見えなかったミスに気づいて事前に対処することができます。
それは管理者として「職場の問題点を発見するまで探して改善する」のと同じこと。
最後に。
「人は疑わずに人の仕事は疑う」ことも、仲間である社員のミスを防止することができます。
実際に、次工程に渡るまでに前工程の人のミスに気づいてあげると、前工程の人はもちろん、次工程の人からも喜ばれるものです。
ありがとうございました。
次回は3月25日(金)更新予定です。
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