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第185回 いろんな秋の見つけ方
正しい報告と美しい報告を習得すれば、相手に一度で伝えることができることから早い報告にもなります。日頃からほかの人が作成した文章に関心を持ち、日常生活においても文字や活字に興味を持つとよいでしょう。
いろんな秋の見つけ方
例えば事故報告書に記載する文字において、加害と被害や加速と減速を間違えることは決定的な間違いですが、「て・に・を・は」等の助詞や句読点の使い方による表現の違いは、何となく真意は伝わりつつも、微妙な違いから相手が何かしらの違和感を覚えることもあるでしょう。
報告の書類やメールを作成時に修正すべき点を提出前や送信前に自身で発見できるようになるためにも、ほかの人が作成した文章に関心を持ち、日常生活においても文字や活字に興味を持つとよいでしょう。
社会や会社には学校のような「授業や先生」等の明確な時間や存在はなくても、学べることや学ぶ方法があるはずです。
しかしながら仕事や上司は「授業や先生」の設定ではないため、吸収する意欲の有無により、自身の成長には雲泥の差が表れるものです。
報告を含めて、文字や言葉を使った伝え方を学ぼうとすれば、電車で移動時の車内広告やテレビやラジオからも学べることがあり、歩いていても寝転んでいても学べる教材を探せば夢中になれるほど楽しいものです。
また、分からないことは人に聞いて教えてもらうか、本を読んで知ることでも理解できるようになります。
人は丁寧に教えてくれますが、本はいつでも知りたい時に教えてくれます。
人に何度も同じことを聞くのは互いに躊躇しますが、本は同じ個所を何度も読むこともできます。
文字により形成される文章には相手を思い浮かべながら考える時間がありますが、言葉は相手を前にして次から次へと臨機応変に対応しながら瞬時に話すもの。
報告においても伝わる文章を考える力を付けることで、瞬時に繰り出す「言葉の引き出し」が増えるなど、口頭での報告も伝わりやすくなります。
報告メールの文章では送信者側の工夫に費やした努力や時間により、受信者側の理解が深まりつつ、要点をまとめることで受信者側が読む時間を短縮できます。
送信者側に時間がない時には、工夫に掛ける時間を確保できないゆえ長文になりがちで、確認の時間も確保できなければ誤字が増えてしまいます。
逆に、送信者側に時間がある時には工夫により要約して短文にすることもできます。
自身の工夫の時間を確保するための工夫や、相手の読む時間を短縮することも社員が会社で行うべき働き方と報告のやり方の改革です。
- 必要な文字や項目を含めて省かない報告(正しい報告)
- 読みやすい文章で分かりやすい報告(美しい報告)
- 文字数を少なくしながらも正しく伝わる報告(早い報告)
正しい報告と美しい報告を習得すれば、相手に一度で伝えることができることから早い報告にもなります。
そのためにも「まずは文章、次に言葉」であり「まずは正しく、次に美しく」。
短い文章を読んで「筆者は何を伝えたいのか」や「短い読書感想文」を発表することで読む力と話す力を高めることは、無記名で社員アンケートを実施のうえ、書かれた人の真意を議論することでも同様の効果があると思います。
社内で、読みやすくてお勧めの本を紹介することも良いでしょう。
ほかにもお勧めのラジオ番組やお勧めの昼ごはん、お勧めの休日の過ごし方などをドライバーにインタビューした結果を社内で公開すれば、いろんな秋の楽しみ方を見つけられるかもしれません。
ありがとうございました。
次回は11月13日(金)更新予定です。
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