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第192回 積極的に謙虚な運転
謙虚な姿勢が運転に表れていれば相手を怒らせない運転になり、相手も必要以上に近寄ってこないので、自身が驚かされることも少なくなるはず。積極的に謙虚な運転に取り組みましょう。
積極的に謙虚な運転
運行中の車両トラブルを回避するのが点検の技術ならば、他の運転者との交通トラブルを回避するのは運転の技術といえます。
適切な距離を確保することで相手に近づかない運転と、早めの合図により相手に迷わせたり驚かせたりすることがない運転をしましょう。
謙虚な姿勢が運転に表れていれば相手を怒らせない運転になり、相手も必要以上に近寄ってこないことから、自身が驚かされることも少なくなるはずです。
道の上では周囲を走行する運転者と直接言葉を交わすことが不可能です。
そのような道の上でのコミュニケーション不足を補うために、運転室からでも伝わる場面では手で合図をしたり、車両から発する光や音で早めに合図をしたりしましょう。
その合図により「停まる・曲がる・寄る」などの意思の伝達ならびに疎通ができれば、多くの「あおり運転」や「あおられ運転」を抑止できると考えます。
運転中に周囲の運転者への会釈を含めて手で合図をすることや、周囲を確認してから動き出すようにするために実施する指差呼称確認について触れますと、やりたくない人がやりたくない言い訳として、「片手運転になると危ないのでルール化はやめるべき」と主張します。
確かに、焦りの心理により周囲への合図や自身での確認が面倒に感じることも理解はできます。しかし、それらの会釈を含む合図や確認をすることは「安全運転な人=運転マナーが良い人」であれば誰に言われるまでもなく、どんな時にも積極的に取り組んでいるものです。
参考事例として、自転車を運転時にハンドルから片手を離してでも後続者に手信号で合図を送る人は安全運転な人が多いことに置き換えれば、理解してもらえると思います。
また、直進時において対向右折車へ先に右折することを促す際には、自車の左側をすり抜けるバイクや自転車と右折車が接触するサンキュー事故にならないことを確認したうえで「どうぞ」と合図を出すのがプロの運転の技術です。
「直進が優先でありサンキュー事故を防止する観点からも、いかなる場面でも先に右折させるべきではない」との見解は、自車の左側を確認しない人が言い放つ傲慢(ごうまん)な理屈ともいえます。
道の上では
「運転マナーが良い人」→「交通違反が少ない人」→「交通事故を起こさない人」
地に足をつけた状態では
「あいさつを相手よりも先にする人」=「自分の意思を正しく早く伝えることができる人」=「コミュニケーション能力が高い人」=「マナーが良い人」
あいさつの利点が「自分の心情や行動、ならびに自分の存在を周囲の人に一言で発信できること」だとすれば、その利点は周囲への合図も同じです。
言い換えますと、道の上での合図とはあいさつのようなものであり、普段からあいさつが苦手な人は、道の上での合図を省いてしまうのかもしれません。
道の上は見知らぬ人と「言葉を交わさないあいさつ」を繰り返すような場所かもしれません。
周囲の運転者からの言葉は聞こえなくとも「ありがとう」と言われる運転をしましょう。
謙虚な姿勢とは「控え目でおとなしく」との消極的な振る舞い方だけではなく、周囲の人への目配りができて相手の心理や状態を理解しようとする姿勢や、あいさつの場面のように相手よりも先に動こうとする積極性も含まれると思います。
積極的に「謙虚な運転」に取り組みましょう。
道の上で「運転で検挙」されることがないように。
ありがとうございました。
次回は2月26日(金)更新予定です。
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