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第92回 愛と夢の初任運転者講習
法令の初任運転者講習を含む入社時教育で講師を担当することは、受講者の人生を左右するほどの責任重大な機会です。運送会社における入社時教育の質と量は、ドライバーの採用枠を広げます。
愛と夢の初任運転者講習
入社して1日目のことは2日目のことよりも、よく覚えているのと同じく。
入社してすぐに教わったことは、年月が経ってもよく覚えているものです。
法令の初任運転者講習を含む入社時教育で講師を担当することは、受講者の人生を左右するほどの責任重大な機会です。
だから講師は、愛を持って時には厳しく。
受講者に夢を持ってもらえる講習を提供しなくてはなりません。
運送会社における入社時教育の質と量は、ドライバーの採用枠を広げます。
募集や採用時に「経験者優遇」と記載するのは、社内で教育ができないことを露呈するようなもの。
「経験者優遇」だけではなく、「未経験者歓迎」として迎えられるために。
初任運転者に対する教育とは「イチからではなくゼロから教えて事故ゼロを狙う」ことが目的でありながら、ドライバー不足への対応策にもつながります。
管理と書いて「キョウイク」と読むならば、管理者とは教育者です。
ドライブレコーダーの映像を「事故防止に活用」するのは教育者です。
ドライブレコーダーの映像を「事故処理に使用」するのは管理者です。
「安全を管理する」以上の「安全を教育できる」事業所づくりでドライバー不足に対応するためにも、座学研修ができる社内講師と、添乗指導ができる車内講師の「ふたつの講師」を目指しましょう。
実車を用いた添乗指導では「乗り降りの方法」「運転席での姿勢」「ハンドル操作」等の基本を確立するための時間を惜しまず。
商品の正しい積載方法や、かもしれない運転の励行については、初心を忘れず何度も確認を。
初心を忘れることにより省く傾向の手順は「確認と報告」です。
そして、法令で定められた初任運転者に対して行う「指導及び監督の指針」とは、最低ラインの指導内容と捉えるべきです。
その理由は、実際にはフォークリフト作業を含む貨物の扱いや接客対応等、「指導及び監督の指針」で定められた法令の範囲以上のことを、ドライバーは日常的に担当していますから。
目的地に運ぶトラックドライバー以上の、お客様に届けるプロドライバーを目指して。
物流業以上の物流サービス業として「運転のプロ・輸送のプロ・接客のプロ」を目指して。
その手段として、新たなドライバーが「仕事を覚える」のではなく。
管理者が「仕事を任せる」のでもなく丁寧に「仕事を教える」こと。
「仕事を教える」のは管理者だけではなく、新たなドライバーの納得と理解を得るためには、先輩ドライバーも「動くマニュアル」にならなければなりません。
先輩ドライバーは「もしも18歳の高卒者がドライバーとして入社して自分の助手席に座ったら、何をどのように教えるべきか?」を考えてみましょう。
新たなドライバーを育てることができなければ無理な運行になり、交通事故発生の原因にもつながります。
全員が新たなドライバーを育てられることによって、自分自身の安全にもつながります。
「指導及び監督の指針」の改正により、各社の教育体制の整備が急がれますが、新たな取り決めを行うのではなく、今までの取り組みに少しだけ視点とやり方を変える方法がお勧めです。
第一段階として。
既存のドライバー全員がすでに同じようにできていることを、社内のルールにしましょう。
第二段階として。
既存のドライバー全員が同じことができるようになるための手段を、社内のルールにしましょう。
第一段階と第二段階で作った社内のルールを、初任運手者への教育プログラムに反映しましょう。
ありがとうございました。
次回は2月24日(金)更新予定です。
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