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第91回 運送会社はなくならない?
自動車メーカーの技術革新により、自動運転で目的地に到着できても「人が人に商品を手渡す」という仕事はなくならず、その仕事を誰かが担当しなくては、生活も経済も成り立ちません。よって「運送業界はなくならない」と言われています。
運送会社はなくならない?
言うまでもなく「トラックは生活と経済のライフライン」です。
自動車メーカーの技術革新により、自動運転で目的地に到着できても「人が人に商品を手渡す」という仕事はなくならず、その仕事を誰かが担当しなくては、生活も経済も成り立ちません。
よって「運送業界はなくならない」といわれています。
しかし「運送会社はなくならない」とはいわれていません。
「ドライバー不足」だといわれています。
しかし「運送会社不足」とはいわれていません。
運送業界は、世の中を支える重要な役割を担っていますが、それに慢心していては運送会社として存続するのは難しくなります。
他社よりも先に選ばれる運送会社になるためには、他者よりも選ばれるドライバーを教育により育成すること。
特に挨拶や身だしなみに代表される品質については「他社もやっていないからやらない」ではなく「他社がやっていないからやる」ことが付加価値であり、品質で仕事を守ることが自身の生活を守る条件です。
ドライバー不足で求職者から見た職業観を重視して、長距離運行から遠ざかる運送会社も多くなってきました。
長時間運行が避けられない要因に、運賃(収益)の低下が挙げられるならば、量(時間)より質(運賃)を高める運行を目指しましょう。
運転時間に関する法律では「空車か実車かは問わず運転時間」と見なされます。
収益や賃金の向上を目指す運送会社にとって「空車距離を縮める努力」とは、法律を守りながら収益を上げてドライバーの生活を守る手段です。
「空車距離を縮める努力」とは「どこの運送会社でも良いから早く安く運んでほしい」ではなく「少々待ってでも高くても○○運送に運んでほしい」といわれるほどの品質に取り組むことです。
一般的にサービスとは無償で提供するイメージですが、品質とは有償に値すると考えています。
運送業界の安全確保を願う行政機関は、運送会社の品質向上に関与することはございません。
私たちは、法律を守り安全を高めて適性運賃と適正賃金を確保するためには、品質の向上が不可欠であると考えています。
安全においても、運送会社でドライバー研修を担当する目的は「トラックドライバー以上の“稼げる”プロのトラックドライバーになっていただくために」。
トラックに乗っていればトラックドライバーといわれますが、誰かに教えることができるレベルのトラックドライバーには「プロの称号」が与えられるはずです。
誰かに教えるためには、誰も見ていないところでも模範となる行動を実践しつづけなければなりません。
「やらなければならない」と思っているうちは、ついつい手順を変えたり、省いたりしてしまうものです。
誰かに教えるために模範となる行動を実践しつづければ、いつしか習慣になり、いかなる時でも正しい行動を実践しつづけることができます。
最後にプロと呼ばれる仕事の3つの条件について。
- 誰にもできないことができる
- 誰にでもできることを継続しつづけることができる
- 仕事の道具を大切に使用する
プロと呼ばれるためには「まずは3から、次に2を、その結果が1」になります。
ドライバーとは誰もが就きやすい職業かもしれませんが、プロのドライバーになるには「教育+会話=愛情」や「目標+努力=熱意」が必要です。
「その仕事で飯が食える人」がプロと呼ばれる人です。
「その仕事で飯を食っている人」とは、仕事の結果に言葉以上の違いがあります。
ありがとうございました。
次回は2月13日(月)更新予定です。
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