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第125回 上品すぎずに下品にならず
飛行機の機内で搭乗客を出迎えたり見送ったりする際の挨拶と、荷主様や配送先様に出向いて発信する挨拶では、手を添える位置を含めて決定的な違いがあります。運送の現場で発する挨拶は「上品すぎずに下品にならず」。どのようなお客様とも会話を弾ませることができる「接客サービスのプロ」のドライバーを目指して、正しい挨拶訓練を実施しています。
上品すぎずに下品にならず
トラックを運転したことがない人がトラックの運転方法を教えることは、容易ではないと思います。
挨拶のやり方も、飛行機に乗務している人なら、飛行機に乗っていた人から教わるべきだと思います。
元トラックドライバーの立場から言わせていただくと。
運送の現場で求められている挨拶は「あまり上品すぎず」そして「決して下品にならず」。
飛行機の機内で搭乗客を出迎えたり見送ったりする際の挨拶と、荷主様や配送先様に出向いて発信する挨拶では、手を添える位置を含めて決定的な違いがあります。
机上の考え方や機上のやり方ではなく。
運送の現場で発する挨拶は「上品すぎずに下品にならず」。
荷主様や配送先様では、ドライバーからの挨拶なくしてお客様との会話なし。
お客様との会話なくして、良好な関係と適正な取引はなし。
どのようなお客様とも会話を弾ませることができる「接客サービスのプロ」のドライバーを目指して、正しい挨拶訓練を実施しています。
講師を担当しているのは、飛行機に乗っていた人ではなくトラックに乗っていた人です。
時に汗がにじみ出るまで、正しいお辞儀を繰り返します。
時に声が嗄れるほど、腹の底から大きな声を出します。
相手が最高の笑顔になるまで、笑顔で相手と向き合います。
少々荒っぽい雰囲気の研修に映るかもしれませんが、全てはお客様から「ありがとう!」と言われるための手段です。
第一印象は1秒で決まります。
正しい挨拶を提供することは、1秒でできる改善活動です。
挨拶の良し悪しは三つの手順である「表情・発声・動作」により評価されます。
「表情はニコニコ」で「発声はハキハキ」で「動作はテキパキ」と。
それは運転中における「認知・判断・操作」と同じく1秒間で何度も繰り返し行うこと。
その1秒の取り組みにより、第一印象が良くなります。
挨拶訓練ではお客様の事務所への入室方法や、社名や用件を告げる場面も交代で実践します。
入室時に挨拶をした際、無視されないようになる秘策を伝授します。
「他社には負けないように」と「他者にも負けないように」。
「なぜやるのか?」と「どのようにやるのか?」の説明に時間を掛けています。
その結果、誰一人としてためらうことなく。
一斉に起立をして挨拶訓練を開始できます。
その結果、誰に言われるわけでもなく。
起立後は椅子を机の中に入れて、身だしなみを整えています。
今できることに全力で取り組まれます。
全力で“笑顔”になろうとされます。
「大きな笑顔」と「大きな声」と「大きな動作」で実践されます。
そして退室時には私たちにも笑顔で挨拶をしてくれます。
現在、トラックドライバーと挨拶訓練に取り組んでいる講師の立場から言わせていただくと。
今まで実践していなかった挨拶の方法も「全員でやれば恥ずかしくない」。
今まで実践していなかった挨拶の方法を「全員が全力でやればかっこいい」。
ありがとうございました。
次回は6月22日(金)の更新予定です。
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