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第147回 ミスをするから確認を
「人生において一度も忘れ物をしたことがない」と断言できる人は、おそらくいないでしょう。一方で、「忘れ物」になる前に確認をしたことで「忘れ物」を発見できて、事なきを得た経験は誰にもあるでしょう。「人は確認をしなければ必ずミスをする状態」にあると言えます。
ミスをするから確認を
「人生において一度も忘れ物をしたことがない」と断言できる人は、おそらくいないでしょう。
一方で、「忘れ物」になる前に確認をしたことで「忘れ物」を発見できて、事なきを得た経験は誰にもあるでしょう。
忘れ物というミスをしない人はいません。
結果的に、忘れ物というミスをしていない人は確認をしています。
言い換えると「人は確認をしなければ必ずミスをする状態」にあると言えます。
安全においても「見る」と「確認する」の違いにより、安全の結果に違いが生じます。
見るとは、ただ見えている範囲のものを見ているだけの状態。
確認するとは、見えるものの中で危ないものを探しつつ、見えていないものは予測をして対処すること。
横断歩道上に歩いている人がいないかを「見る」ことと、横断歩道上はもちろんのこと、予測により視野を広げて、横断歩道を渡ろうとする人がいないかを「確認する」ことの違いです。
ドライバーが走行中に指差呼称等による確認をすることで、停まろうとします。
停まろうとすることにより減速ができています。
安全を確認してから動き出そうとすることで、次の動作までの秒数を稼ぐことができます。
確認にいつもよりも一秒多く時間を掛けるだけで、正しく判断できる時間を稼ぎ、動作や操作のミスを防止することができます。
例えば、先頭位置での信号待ちの状態から発進する際にも、確認により発進を遅らせて他車を先に動かすことで、横断歩道上に残っている人と接触する事故の第一当事者になるリスクを軽減できます。
バック事故発生時の検証においては「接触の対象物(屋根や駐車車両や柱など)の存在を確認により認識していたか?」を確認しましょう。
「降車確認」等により認識できていれば、多くのバック事故を回避できたはずです。
ちなみにバック事故の対象物の多くは「動かないもの」です。
ドライバーが確認により対象物を認識していれば、多くのバック事故は回避できる状態にあると言えます。
また、認識していれば「ゆっくり接近」しようとするために、事故発生時にも事故の被害を小さくすることができます。
さらには、見えるものを見るのは「気付く」の行為であり、見えないものも見えるようにする努力が「確認」の行動です。
「見えている範囲のみを見る」ことと、バック時の降車確認や交差点通過時の首や上半身を動かす確認ことで「見える範囲を広げる確認」。
「見る」と「確認」のやり方の違いを発信しましょう。
「見る」と「確認」の違いは、新聞や本を「見る」と「読む」とのやり方の違いにも似ています。
同じく文字や数字が記載された伝票は、「見る」のではなく「読む」ことで、間違いがないかを確認できます。
安全も「危険を先読みする」ことで、判断や行動の時間を稼ぐことができて、危険への対処により無事故の期間を長くすることができます。
ありがとうございました。
次回は5月10日(金)更新予定です。
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