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第146回 一流の社会人を目指して
人が集まる良い会社とは「社員を一流に育ててくれる会社」だと思います。人を「集める会社」が注力するのが採用ならば、人が「集まる会社」で注力しているのは教育です。
一流の社会人を目指して
運送業界に限らず、働く人の不足が進む現代において、求人活動では「給料の高さ」や「時間の短さ」や「休日の多さ」などの勤務条件が、求職者から選ばれるための条件として注目されています。
求人活動は、会社の存在を示すWEB戦略や、イベント開催や映像等で会社の見せ方を良くして、人を集めることができます。
しかしながら、本来の人が集まる良い会社とは「社員を一流に育ててくれる会社」だと思います。
「集める会社」よりも、「育てる会社」が「集まる会社」であると言うこと。
人を「集める会社」が注力するのが採用ならば、人が「集まる会社」で注力しているのは教育です。
採用の結果、事業規模の拡大により会社の認知を高めます。
教育の結果、事業内容の充実により会社の価値を高めます。
採用は会社にとってゴールではなく、働く人に対する教育のスタート地点です。
採用前に行うのは「会社の説明」ですが、入社後は「会社で教育」です。
新入社員に対しては「説明以上の教育」として、社会人の「心構え以上の目標」について伝えるべきことがあります。
「一人前の社会人」を目指すならば、他の人に心配をさせないように報告をして、迷惑を掛けないように判断して行動すること。
「二人前の社会人」を目指すならば、他の人が模範にしたくなる行動や言動で、周囲に良い影響を与えようとすること。
一人前とは自分のことは自分でできることであり、二人前とは自分のことだけでなく他の人の支援や指導もできること。
「一流の社会人」を目指すならば、他の人が真似をできないことができるよう、他の人が真似のできない努力をすること。
「超一流の社会人」を目指すならば、新たな発想や提案で会社だけでなく業界や社会をも牽引するよう、他の人がやっていない勉強もすること。
上司は部下との会話時に、常に相手の段階を見極めながら対応を変えましょう。
幼稚園で園児が、遊ぶ道具の後片付けができたら褒められるように。
職場で社員が、仕事道具の後片付けをしなかったら叱られるように。
「すごい!」と褒めてのみ伸びる(伸ばす)のは園児に向けた躾。
相手を認めながら、時に「あなたらしくない」と叱って伸びる(伸ばす)のは社員に向けた教育。
叱ると機嫌を悪くして怒るのは、部下が一流に達していない証拠。
褒めると機嫌を悪くして黙るのは、一流の部下に近づいている証拠。
自分に似た人に近づき、賛同の意見に心地よさを覚えるのは二流の弱さ。
自分と違う考え方の意見を積極的に聞いてから判断するのが一流の強さ。
上司としては、相手の段階により「少し上」を目指すように向上心を掻き立てて、本人の努力で「できた!」との成功を体験させましょう。
しかしながら、「これで良い」や「自分はできている」と有頂天になった時点で、社会人としてはピークを迎えてしまい、以降は過信により下り坂を歩むことになります。
目標を達成したら次の「少し上」を目指すような仕掛けを続けて、部下に常に夢を与えるだけでなく、部下が挑戦により実力と成功による自信を兼ね備えるようにするのが「育てる会社の育てる上司」であり、「部下が憧れる理想の上司」です。
「少し上」を「雲の上」と感じさせないことが、「人の上」に立つ人に求められる資質と言えます。
一流になれば、努力で得た実力と周囲からの評価で給料は稼げるでしょう。
一流になれば、自分の器量で休日や時間を確保することもできるでしょう。
一流になれば、責任がやりがいになり、働く意欲がいつまでも安定します。
一流の社会人を教育により輩出できる業界であること。
それが「人が集まる業界」になる手段であり条件です。
ありがとうございました。
次回は4月19日(金)更新予定です。
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