第6回 入社1年未満ドライバーの交通事故を防止したい!

ドライバーの離職率を“ある程度”は想定しなければならない運送業界において「退職者の補充として雇い入れた新人ドライバーが入社1年未満に交通事故を起こす可能性が高い」のは残念ながら知られた事実。

今回のコラムでは「なぜ入社1年未満ドライバーの交通事故が多いのか?」と、どのようにして「入社1年未満ドライバーの交通事故を防止するのか?」を解説します。

【入社1年未満ドライバーが交通事故に陥るパターン(物理的要因)】

  1. 同じ運送業界でも運送会社が変われば荷主が変わる
  2. 同じ車種のトラックに乗っても荷主が変われば積載物が変わる
  3. 荷主と積載物が変われば配送先が変わる
  4. 配送先が変われば場所を探しながらの運転状態になりやすい

『だから交通事故が起こりやすい』

『ではどうすれば良いのか?』

ここでも「走り方より停まり方」を発揮!

はじめて行く配送先の手前でトラックを停めて、歩いて確認に行くことが初歩的であり最大の防止策です。

ポイントは運行計画に「下車して目的地を確認する所要時間を想定しておく」こと。

【入社1年未満ドライバーが交通事故に陥るパターン(心理的要因)】

  • 他の運送会社からの転職者は「認められようとして無理をしてしまう」
  • 他の業界からの転職者は「がんばろうとして無理をしてしまう」

『だから交通事故が起こりやすい』

『ではどうすれば良いのか?』

走りたがるドライバーを「安全第一の考え方と行動に導く」のが運行管理者(安全指導者)の役目。

走行距離や労働時間が給与に大きく反映される運送会社では、特に管理者には洞察力が求められます。

でもこの洞察力・・・身に付けるのは難しい。

ここで視点を「ドライバーから運送会社」に変えてみましょう。

入社1年未満ドライバーの交通事故が多い運送会社には共通点があります。

それは「入社1年未満ドライバーの割合が高い=ドライバーの定着率が低い」こと。

『ではどうすれば良いのか?』

これが私の考える一番の交通事故防止策!

入社1年未満ドライバーの交通事故を削減するには「入社1年未満ドライバーの割合を下げればよい」

言い換えると「それぐらい入社一年未満ドライバーが交通事故を起こす可能性が高い」ということです。

また、既存ドライバーにおける輸送品質の“平均レベル以上のドライバー”が入社しないと、全社的な輸送品質の平均レベルは向上しないことも危惧しています。

あわせて「自主退職を希望するドライバーの真の理由ベスト3」も確認しておきましょう。

  1. 労働条件(賃金や時間など労働条件の悪化を理由とした退職)
  2. 事故発生(事故惹起者として働きづらくなったり免許証の失効により退職)
  3. 人間関係(上司の気配り欠如や同僚とのコミュニケーション不足により退職)

特に人間関係の良し悪しは「労働条件が悪化時」や「事故発生時」に感じることが多いようです。

『ではどうすれば良いのか?』

  1. 社内の人間関係良化に取り組む
  2. ドライバーの定着率が向上する
  3. 新人ドライバーの割合が減少する
  4. 全社的に交通事故が削減する

次回のコラムでは、交通事故防止にも直結する「社内での人間関係良化策(運送会社バージョン)」を公開します。

ありがとうございました。

次回は9月6日(金)の更新予定です。

関連するページ・著者紹介

この記事のテーマと関連するページ

運送事業者向け販売管理システム SMILE V 2nd Edition トラックスター

運送業における日報管理・請求管理から実績管理まで、一連の業務を効率化。業界の慣習に対応し、運送業の経営管理を強力にバックアップします。マスターや伝票に独自項目を追加して、オリジナル帳票の作成やデータ活用が可能です。

クラウドサービスを利用できるネットワーク型車載ステーション 富士通製 デジタルタコグラフ DTSシリーズ

通信モジュールを標準搭載し、カードレス運用を実現したデジタルタコグラフ。富士通がお客様と共に培ってきた運行支援ソリューションをクラウド基盤で運用することを可能にし、インターネットにつながるパソコンを用意するだけで初期費用を抑え、短期間で運行情報分析が簡単に行えます。車両の速度や時間・エンジン回転数などの車両情報と運転評価表をもとに乗務員に的確な運転指導が行えます。

この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
公式ブログ:ほぼ毎日更新中!プロデキューブログ
Facebook

公式Facebookにて、ビジネスに役立つさまざまな情報を日々お届けしています!

お仕事効率研究所 - SMILE LAB -

業務効率化のヒントになる情報を幅広く発信しております!

  • 旬な情報をお届けするイベント開催のお知らせ(参加無料)
  • ビジネスお役立ち資料のご紹介
  • 法改正などの注目すべきテーマ
  • 新製品や新機能のリリース情報
  • 大塚商会の取り組み など

ページID:00079926