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第104回 間近で身近な研修プログラムの作り方
ドライバー向けのオリジナル研修プログラム(国で定められた教育と社内ルール)の構成・研修の目的についてお伝えします。
間近で身近な研修プログラムの作り方
国土交通省の告示内容で定められた運送会社のドライバー向け教育項目には、過去に国内で発生した重大事故事例と、その事例から生まれた事故防止対策が含まれています。
各社の社内で定めている社内ルールとは、過去に社内で発生した事故事例がきっかけになり防止対策として生まれるものです。
国で定められた広義の教育項目と、社内で定めた狭義の社内ルールをドライバー向けの研修プログラムに反映することで「身近なオリジナルの研修プログラム」を作成できます。
研修プログラムの構成と研修の目的を、下記の5段階で展開してみましょう。
交通事故の発生事例と防止対策を教育項目に取り入れて、ドライバーの安全を確保するのが第1段階。
交通事故がなくなれば、事故ゼロの状態を継続するためのスローガンを教育項目に取り入れるのが第2段階。
安全な状態を維持できれば、品質に関する取り組みを教育項目に取り入れるのが第3段階。
品質が高まれば、「自分ができる」ことを「誰にでも教えられるようになる」ことを目指すのが第4段階。
「全員ができる」ようになれば、全員でお客様に向けて「運賃を下げずに価値を上げての営業活動」を開始することが第5段階。
「事故を防止→安全の維持→品質の向上→周囲に指導→営業の方法」との5段階です。
直近に自社で撮影されたドライブレコーダーのヒヤリハット映像を安全教育に活用するように、研修直前に自社の車庫で撮影した写真を研修プログラムに挿入することで「間近なオリジナルの研修プログラム」を作成できます。
給油タンクのメーターから、見えてくる「取り決め」があります。
洗車場のホースから、見えてくる「取り組み」があります。
運転室内の整理整頓から、見えてくる「行動」があります。
車輪止めの装着方法から、見えてくる「習慣」があります。
バック走行時の確認方法から、見えてくる「努力」があります。
良いことをしているドライバーは研修中に発表して全員で拍手。
ルールとは「良くない人を指導(叱る)」するためだけではなく、「良い人を称賛(褒める)」するためにあると考えましょう。
また、ドライバーにとって研修の内容は「こたえ」ではなく。
研修の内容を「ヒント」にして、自分の「仕事の流儀」を構築しましょう。
自分の「仕事の流儀」が構築できたら、社内の仲間に伝えましょう。
同じ運送会社で働く仲間として、できていないドライバーいれば親身になって指摘をしましょう。
親身になって指摘をし合える仲間がいることが、運送会社で働く安全のメリットです。
誰もが誰にでも指摘をしやすくするために社内ルールがあり、指摘をされた人が「理解や納得以上に教えてくれたことに感謝」できるようになるのが社内教育の機能です。
ありがとうございました。
次回は8月18日(金)の更新予定です。
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