第116回 道の上の三つの坂

車に求められる性能とは、運転者が思うように「進める・曲がれる・止まれる」ことです。路面状況が瞬時に変わったとしても、出先において最適なタイヤに瞬時に履き変えることは困難であり、その場でできることは運転者が運転行動をそのつど変えることです。結婚披露宴で用いられる定番スピーチのひとつに「人生には三つの坂がある」との表現があります。同じく道路にも三つの坂があります。

道の上の三つの坂

車に求められる性能とは、運転者が思うように「進める・曲がれる・止まれる」ことです。

その運転者の意図を叶えるために重要なのが、路面とタイヤの摩擦の状況です。

路面状況が瞬時に変わったとしても、出先において最適なタイヤに瞬時に履き変えることは困難であり、その場でできることは運転者が運転行動をそのつど変えることです。

結婚披露宴で用いられる定番スピーチのひとつに「人生には三つの坂がある」との表現があります。

それは人生には「上り坂」と「下り坂」と「まさか!」があるという話。

同じく道路にも三つの坂があります。

同じく道路でも「上り坂」と「下り坂」と「まさか!」です。

その「まさか!」の事態にも対応できるように。

特に雪の上においては「危険を発見できた段階では回避できない」と考えて、一つ先の状況や危険を読む運転行動に切り替えましょう。

危険を「深く・多く・早く」発見するために「予測以上の連想」により危険を回避しましょう。

トラックの運転時には、凍結路面では排気ブレーキのオフと、前車よりも減速することで通常以上の車間距離を確保しましょう。

ブレーキを踏まなくても停まれるような早めのアクセルオフで、アクセルもブレーキも使わない「究極のエコドライブ走行」と同レベルの「走り方と停まり方」を実践しましょう。

降雪や積雪への対策として、出発点呼時には気象条件や道路情報を収集して、運行経路の選択と運行計画を確認しましょう。

仕向地の状況によっては、通行止め等により長時間車内で過ごすことも想定して、食料と飲料を多めに持ち込んだり、小まめな給油で燃料切れを防止したり簡易トイレも装備したりしておくと良いでしょう。

フロントガラスが凍結時には、部分的な除去しかせずに視界が狭い状態ではなく。

十分に氷を除去することで、死角を増やさないようにしてから運行を開始しましょう。

道路は生き物であり、同じ道でも通行するたびに環境が変化しています。

天候(上)と路面(下)と交通量(横)の確認と、対処が求められます。

特に天(天候)と地(路面)の情報収集と状況判断によって、運転者のその後の人生に天と地ほどの差が出てしまいます。

「運(天)が悪いから事故を起こした」ではなく「運(天)に関係なく事故を起こさないための地道な準備と方法」を実践し続けることが、四季を通じて無事故を継続するための唯一の道です。

平常時の無事故だけでなく。

降雪や積雪などの異常時にも柔軟に手順を変えつつ、同じ結果(無事故)を出し続けるのがプロの仕事です。

言い換えると、平常時と異常時に手順(行動)を変えなければ、同じ結果(無事故)は出しにくくなるということ。

また、行政機関による積雪時の除雪作業は幹線道路を優先して実施されます。

早朝の納品時には施設の構内は除雪作業が未実施の場合が多く、構内では「バック事故」の増加が懸念されます。

その理由として、接車時にバックモニター頼りでは、モニターに映る光景は雪山にしか見えず。

その雪山と駐車されていた白い車体の車が同化していれば、発見や対処を鈍らせてしまいます。

寒くても、暗くても。

下車して歩いて確認を。

雪の日は道の上だけでなく、構内にも「まさか!」が潜んでいます。

ありがとうございました。

次回は2月9日(金)の更新予定です。

関連するページ・著者紹介

この記事のテーマと関連するページ

運送事業者向け販売管理システム SMILE V 2nd Edition トラックスター

運送業における日報管理・請求管理から実績管理まで、一連の業務を効率化。業界の慣習に対応し、運送業の経営管理を強力にバックアップします。マスターや伝票に独自項目を追加して、オリジナル帳票の作成やデータ活用が可能です。

クラウドサービスを利用できるネットワーク型車載ステーション 富士通製 デジタルタコグラフ DTSシリーズ

通信モジュールを標準搭載し、カードレス運用を実現したデジタルタコグラフ。富士通がお客様と共に培ってきた運行支援ソリューションをクラウド基盤で運用することを可能にし、インターネットにつながるパソコンを用意するだけで初期費用を抑え、短期間で運行情報分析が簡単に行えます。車両の速度や時間・エンジン回転数などの車両情報と運転評価表をもとに乗務員に的確な運転指導が行えます。

この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
公式ブログ:ほぼ毎日更新中!プロデキューブログ
Facebook

公式Facebookにて、ビジネスに役立つさまざまな情報を日々お届けしています!

お仕事効率研究所 - SMILE LAB -

業務効率化のヒントになる情報を幅広く発信しております!

  • 旬な情報をお届けするイベント開催のお知らせ(参加無料)
  • ビジネスお役立ち資料のご紹介
  • 法改正などの注目すべきテーマ
  • 新製品や新機能のリリース情報
  • 大塚商会の取り組み など

ページID:00141576