第128回 夏にご用心

労災事故は「手順を守る」ことをおろそかにしたときに発生しやすくなります。交通事故は「手順を守る」ことの前に「正しい判断をする」ことが求められます。暑さにより手順を省きたくなる夏ですが、夏だからこそ求められる「正しい判断」を指導しなければなりません。

夏にご用心

労災事故は「手順を守る」ことをおろそかにしたときに発生しやすくなります。

交通事故は「手順を守る」ことの前に「正しい判断をする」ことが求められます。

その理由は、交通事故は周囲の運転者や歩行者の行動によって誘発されたり、道路状況や構内構造により危険の察知や対処が遅れたりすることがあるため、「走り方」や「停まり方」の手順(行動)を守る前に、「進むべき」や「停まるべき」の判断を先に行うからです。

その判断を間違うと、違う手順を選択したり、決められた手順を発揮する前に事故になったりすることがあります。

フォークリフト作業時を含む労災事故は「一人での作業中」に多く発生しています。

誰も見ていない倉庫の隅での作業だから横着をしようと、手順を省いて転落や挟まれ事故につながる危険な行為を一人で繰り返すことで、事故や怪我につながりやすくなります。

暑さから「ヘルメットを脱いでフォークリフトに乗務」しようとするのも、倉庫の隅で発生する特有の「夏の心理」と言えます。

ドライバーが暑さにより面倒に感じる行動として、管理者の監督下ではない一人の状況では下記の3点が挙げられます。

  1. 運行時の停止
  2. 接客時の挨拶
  3. 荷役時の確認

どれも事故やクレームに直結する原因になり、暑くても実践できれば事故やクレームが発生しない理由になります。

特に交通事故は「複数原因の同時発生」により発生します。

暑さにより発生する事故の原因として、代表的なものは下記の3点が挙げられます。

  1. ドライバーの心身の状態
  2. トラックの点検整備や貨物の積載方法の状態
  3. 歩行者や運転者や道路形状等の周囲の状況

例えば「ドライバーが疲労状態×トラックの整備不良状態」により、思うように停止できなかったことによる追突事故の発生など。

ドライバーの心身における身体の状態には「食事と睡眠」の「質と量」が関係します。

「食事と睡眠」は、暑さにより「質や量」のバランスが崩れがちです。

ドライバーの心身における心理の状態には「焦りとイライラ」が影響されます。

「焦りとイライラ」は暑さにより「いつも以上に増幅」されるように感じます。

トラックの点検整備や貨物の積載方法には、その項目は定められていても、その項目を履行するために費やすべき所要時間の取り決めはございません。

暑さにより「時間を省く=手順を省く」傾向が散見されます。

歩行者や他の運転者も暑さにより「焦りとイライラ」の状態から不安全行動になっていることや、道路形状でも中央分離帯の雑草が生い茂り、背が高くまで伸びていることも「夏の道路の風物詩」。

雑草の状態により死角が増えて、対向車線の状況が見えにくく、右折しようとした際に直進車と接触する事故が想定されます。

暑さにより手順を省きたくなる夏ですが、夏だからこそ求められる「正しい判断」を指導しなければなりません。

あぶない! 交通事故。

あぶない! 労災事故。

夏は本当にご用心!

危険と遭遇や事故の発生でヒヤッとする前に。

暑さに負けない熱い指導により、夏を無事故で乗り切りましょう。

ありがとうございました。

次回は8月3日(金)の更新予定です。

関連するページ・著者紹介

この記事のテーマと関連するページ

運送事業者向け販売管理システム SMILE V 2nd Edition トラックスター

運送業における日報管理・請求管理から実績管理まで、一連の業務を効率化。業界の慣習に対応し、運送業の経営管理を強力にバックアップします。マスターや伝票に独自項目を追加して、オリジナル帳票の作成やデータ活用が可能です。

クラウドサービスを利用できるネットワーク型車載ステーション 富士通製 デジタルタコグラフ DTSシリーズ

通信モジュールを標準搭載し、カードレス運用を実現したデジタルタコグラフ。富士通がお客様と共に培ってきた運行支援ソリューションをクラウド基盤で運用することを可能にし、インターネットにつながるパソコンを用意するだけで初期費用を抑え、短期間で運行情報分析が簡単に行えます。車両の速度や時間・エンジン回転数などの車両情報と運転評価表をもとに乗務員に的確な運転指導が行えます。

この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
公式ブログ:ほぼ毎日更新中!プロデキューブログ
Facebook

公式Facebookにて、ビジネスに役立つさまざまな情報を日々お届けしています!

お仕事効率研究所 - SMILE LAB -

業務効率化のヒントになる情報を幅広く発信しております!

  • 旬な情報をお届けするイベント開催のお知らせ(参加無料)
  • ビジネスお役立ち資料のご紹介
  • 法改正などの注目すべきテーマ
  • 新製品や新機能のリリース情報
  • 大塚商会の取り組み など

ページID:00150594