ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第102回 「安い」以外で選ばれる理由
ドライバーは給料が「安い」から今の職業や勤務先を選んでいるのではないのです。「安い」から選ばれているのではなく。「安い」以外で選ばれる理由を作りましょう。
「安い」以外で選ばれる理由
ある運送会社で管理者に「お客様から選ばれている理由は?」と問いました。
「どうせ運賃が安いからでしょう」との投げやりなご回答……。
それは「なぜあなたが管理者として選ばれているのか?」との問いに対して「どうせ私の給料が安いからでしょう」と嘆いているのと同じこと。
それではモチベーションが上がらず、運賃も管理者の給料も上がりません。
さらにはドライバーの働ける時間が少なくなる傾向です。
「安い」ことが選ばれる理由と決め込んでいるのは、運賃が上がらなければドライバーの給料も下がってしまうことを、放置している状態です。
ドライバーは給料が「安い」から今の職業や勤務先を選んでいるのではないのです。
「安い」から選ばれているのではなく。
「安い」以外で選ばれる理由を作りましょう。
その理由とは「安全と品質へのこだわりの結果」であり、教育の成果です。
教育とは会話により成立します。
日頃の会話の「質と量」が、教育の効果を高める手段です。
伝わる会話のために、ドライバーの家族構成や生活形態を把握して、趣味にも関心を持ちましょう。
個々のドライバーに見合った会話という教育により、全員が同じ考え方や行動ができるようになります。
研修や掲示物で一斉に伝えたことは、その理解度や履行状態を個々に会話で確認しましょう。
確認の結果(評価)を相手に伝えましょう。
伝えたことができていれば「いつもありがとう!」の労いを。
伝えたことができていなければ「一緒に頑張ろう!」の励ましを。
正しい人が正しいと言える、正しい管理者になるために。
会社で取り決めたルールの意味や背景を管理者が正しく理解しましょう。
ドライバーに「なぜやるのか?」との理由と「どのようにやるのか?」との手順を伝えて確認しましょう。
ルールを守ることのメリットと、守らないことによるデメリットを、ドライバーに正しく伝えましょう。
安全のルールを守ることはドライバーの身体と健康を守ること。
品質のルールを守ることはドライバーの仕事と生活を守ること。
ルールを守ることとは、約束を守ることです。
その約束とは、信頼してくれている仲間との約束。
その約束とは、信用してくれているお客様との約束。
約束とは、ひとりでするものではなく。
約束とは、ひとりで守るものでもなく。
誰かと一緒に取り決めて取り組むべきもの。
管理者の役割とはその「誰か」になること。
「誰でもよい」ではなく「あの人がよい」と慕われるのがプロの管理者です。
管理者はドライバーからいつも見られています。
「この人のためなら頑張れる!」と言われる管理者になるために。
「あの人のようになりたい!」と思われる管理者になるために。
「あの人のような管理者になりたい!」と目指されることも、ドライバー不足を解消する方法のひとつです。
ありがとうございました。
次回は7月21日(金)更新予定です。
前の記事を読む
次の記事を読む