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第198回 点呼は会話で5S確認
出発前の点呼は慌ただしい時間です。短時間でも確実に伝えるためには管理者による「準備と技術」が必要であり、その技術は準備を繰り返すことで身に付けることができます。
日ごろからの会話の量を増やしつつ会話の質を高めておくことで、点呼では短時間の確認で済ませるようにすることも準備の一つです。
点呼は会話で5S確認
事故が発生したら管理者が安全の会議をするのではなく。
事故が発生する前にドライバーと安全の会話をすること。
安全の会話の機会である点呼は「二度と会えないかもしれない」と思いながら臨むこと。
「言おうと思っていた」や「止めてあげればよかった」と事故後に後悔をしないために。
とはいえ、特に出発前の点呼は慌ただしい時間です。
短時間でも確実に伝えるためには管理者による「準備と技術」が必要であり、その技術は準備を繰り返すことで身に付けることができます。
準備とはドライバーごとにその日の運行状況はもちろんのこと、その人の「社歴・事故歴・違反歴」や「家族構成・趣味や興味・仕事や安全への考え方」などの特徴にも関心を持って、事前に確認や記憶をしておくことを含みます。
また、日ごろからの会話の量を増やしつつ会話の質を高めておくことで、点呼では短時間の確認で済ませるようにすることも準備の一つです。
指示型の点呼ではドライバーが「はい」と数回発すれば数秒で終わる儀式的な機会になりがちですが、点呼の所要時間に関する法律はなく、記録的にも問題なしと判断されます。
一方で、管理者が指示をしたことにドライバーから「はい」の返事を求めるだけではなく、管理者からの質問に対してドライバーに考えて答えてもらうことで、ドライバーの記憶に残りやすくなるのが質問型の点呼です。
また、朝一番のあいさつには感情が映りやすいものです。
さらに言葉を交わす会話によって、発声や発言からドライバーの体調の異変に気付けることもありますが、ドライバーが指示型の点呼で発する「はい」の二文字だけでは短すぎて、その返事のみから管理者が異変を見抜くことは困難でしょう。
点呼における会話の量は管理者よりもドライバーが勝るよう、管理者による質問の質を高めましょう。
始業点呼では、事故防止を目的としてあえて短く的確な表現を用います。
終業点呼では、離職防止も目的として長く会話が続く方法を優先します。
「身近な事例」や「間近な話題」を会話のきっかけにする方法も良いでしょう。
業務以外の話題から会話をつなげる方法を。
業務以外の会話から安全につなげる方法を。
点呼とは会話で確認をする機会です。
日ごろから掲示物や研修の機会に社内で一斉に発信している内容を、最後に個別に会話で確認をしながら、ドライバーごとに感想や進捗(しんちょく)を聞くのが理想の点呼です。
「言葉を掛ける(会話)+時間を掛ける(継続)+手間を掛ける(確認)」
始業点呼で伝えることを継続しましょう。
終業点呼で伝えたことを確認しましょう。
点呼では、思ったことを言う以上に、考えたことを伝えてみましょう。
言葉だけではなく、話し方や表情や動作にもこだわって伝えましょう。
社内で点呼の機会に培った会話の技術は、社外でのお客様との会話でも良い評価を得られるでしょう。
最後に、もしも点呼で会話に困ったら。
5つのSである「酒量・睡眠・食事・ストレス・疾患」を確認しましょう。
酒量と睡眠以外は法定外の項目ですが、特に食事は誰もが日々該当する項目であり、ドライバーから「はい」以外の回答を得ることが容易になり会話が弾みやすくなります。
疾患がない若年層のドライバーにはこちらの5S確認もお勧めです。
「疾患を・生活にして・5Sに」
ありがとうございました。
次回は5月28日(金)更新予定です。
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