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第123回 たかが制服、されど制服
社名が記載された制服を来たドライバーは「運送会社の広告塔」であり、その姿はドライバーのプライドの表れです。身だしなみの乱れは心の乱れを表し、心の乱れは運転の乱れにつながります。身だしなみを整えることは、安全になれる条件を整えることにも通じます。
たかが制服、されど制服
運送業界の特徴の一つに、乗務する車両と着用する制服に「社名が大きく記載されている」ことが挙げられます。
社名が大きく入ったトラックは「運送会社の広告塔」であり、会社のブランド戦略の一環です。
社名が記載された制服を着ているドライバーも「運送会社の広告塔」であり、その姿はドライバーのプライドの表れです。
広告塔とは世間やお客様に見てもらうためのもの。
だから運転中でも到着後でも。
休憩中でもいつでもどこでも。
ルールと教育により「魅せる仕事」を見せて、良い評価を得ようとするのが広告塔の機能です。
仕事を魅せるプロの条件として、仕事道具にこだわり大切に使用すること。
仕事道具とはトラックや積み荷を保護する養生道具だけでなく、制服も肌身離さず使用している仕事道具です。
制服を大切に正しく着用することもプロの仕事の技術であり、仕事道具を大切にすることが、安全や品質の向上の条件です。
ドライバーが仕事道具として着用する制服は、作業服と表現することもありました。
かつての作業服では汚れが目立たない濃紺系が多く、最近の制服では存在が目立つような原色系が多くなってきました。
作業服は汚れるもの。
制服は汚さないもの。
それが“作業服と制服”の違いだと思います。
安全には「運転がうまい」と言われる技術があるように、身だしなみにも「マナーがよい」と言われるための技術があります。
制服と作業服の「仕様の違い」だけでなく「着用の方法」にもこだわりましょう。
身だしなみとは、職種や役職を問わず「やろう!」と思えば全員が実践可能な項目です。
言い換えると競合他社でも「やる!」と決めたら実施可能な項目です。
同じ項目でもいかに高い精度で実施できるかが、競合他社との差別化に繋がります。
やろうと思えば簡単にできることでも、思っているだけではできません。
全員でルールを決めて実践すれば習慣になり、会社の風土になります。
たかが制服、されど制服。
服装の乱れは心の乱れを表す状態であり、心の乱れは運転の乱れに。
よって、身だしなみを整えることは、安全になれる条件を整えることにも通じます。
正しい身だしなみに取り組むのが面倒に感じる時は、何かしらのエラーメッセージ。
服装の乱れは、行動が乱れて安全や品質の低下を察知できるバロメーターです。
身だしなみは「自分流にならない」ように。
挨拶は「雑にならない」ように。
車輪止めは「手順を省かない」ように。
自身のエラーメッセージに気づいたら、誰かに気づかれる前に自分で修正できるのもプロと呼ばれる条件です。
おしゃれも安全も足元から。
足元とは自身で見つめ直すと良い改善。
誰かに足元を見られることは悪い傾向。
誰かに足元をすくわれるのは、自身の足元を見つめていなかったことで招いてしまう結果。
おしゃれも安全も足元から始めて、最後は頭の先までの順で取り組むべきもの。
たとえば足元においては、安全靴の履き方はもちろん、仕事中にはくるぶしが見えない靴下を履くことも、安全と品質の両面から取り組むべき項目です。
ありがとうございました。
次回は5月25日(金)の更新予定です。
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