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第106回 社内教育を社外宣伝に
社員教育をせずに「売り」を決めようとすると「安価」の勝負は避けられません。努力をせずに安価を売るのではなく、教育の結果を「売り」にしましょう。教育により得た各社の強みは、名刺に記載できるようなキャッチフレーズにして、社外に発信しましょう。
社内教育を社外宣伝に
「あいさつ日本一の運送会社」や「指差呼称日本一の運送会社」であれば、事業の規模や会社の歴史に関係なく、誰でもいつからでも日本一を目指すことができます。
あいさつや指差呼称確認などの会社の「売り」を決めることとは、社員教育の「目標」を決めて、社員が目指す姿を明確にすること。
社員教育をせずに「売り」を決めようとすると「安価」の勝負は避けられません。
それは飲食店において店員に「料理の技術」を教えずに店舗を展開するならば、味ではなく「量や値段や時間」が「売り」になるのと同じこと。
努力をせずに安価を売るのではなく、教育の結果を「売り」にしましょう。
教育なくして宣伝なし。
宣伝なくして売上なし。
教育のない売上なくして、つぎの教育のための利益なし。
ドライバー不足への対応として、安全だけでなく品質の教育ができる運送会社にこそ、高校生を採用できる権利が発生するとも考えています。
例えば「あいさつのやり方」に関する教育について。
ドライバー向けに「あいさつの練習」のご依頼は多くいただきますが、ドライバー向けに「あいさつの練習」を行っている運送会社はめったにございません。
他社がやっていないからこそ、「取り組んでいる段階」から品質として評価を得られることもあります。
あいさつは会話のはじまりであり、あいさつなくして会話なし。
社内での会話なくして、車内や社外での安全なしです。
あいさつのやり方(タイミング・声・動作)は、指差呼称確認のやり方に比例します。
先にあいさつができる人は周囲への気配りや目配りができる人であり、運転中の気配りや目配りに比例します。
先にあいさつができる人は自分の意思を発信できる人であり、運転中の早めの合図により防衛運転につながります。
このように品質の向上を目指した教育は、安全の結果にも通じます。
教育の「目標」を決めることは、現在の「良き社員の姿」を明確にすることもできます。
正しい社員が正しいことを継続して、全員が良い社員の行動をまねる(目指す)ようになります。
いつも正しいことを実践している社員が、正しい社員と言われる会社になるために。
今は正しいことをやっていない社員が、いつか正しいことができるようになる社風に。
教育により得た各社の強みは、名刺に記載できるようなキャッチフレーズにして、社外に発信しましょう。
SNSやホームページを活用した広報活動に展開することも、これからの運送業界には不可欠です。
そして、社員教育によって認識できた各社の弱みは、誰もが理解できるようなスローガンにして、社内で発信しましょう。
その「弱み」が「強み」に変わり、いつか「売り」として世間に広く発信できるように。
ありがとうございました。
次回は9月15日(金)更新予定です。
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