第107回 視界と死角

トラックは死角の多い乗り物です。事故防止には、社内ルール策定やルールの遵守が重要です。

視界と死角

トラックは死角の多い乗り物です。

トラックの死角により発生する交通事故の代表例として、交差点事故が挙げられます。

交差点ならびに交差点付近は、交通事故が多く発生する場所です。

なぜなら、交差点とは「人と車が異常接近する場所」だからです。

ドライバーは一日の運行において、何度も何度も交差点を通過しています。

交差点進入時には「安全を確認できた場合のみアクセルを踏む」こと。

横断歩道上を通過時には「歩行者がいれば停まる」ではなく。

「歩行者がいないことを確認できた場合のみアクセルを踏む」こと。

トラックは死角の多い乗り物です。

運転室内からは「見えない死角」と「いつでも見える視界」と「努力すれば見える視界」があります。

運転姿勢へのこだわりや座席位置の合わせ方は、見える視界を増やすための努力の方法です。

安全確認のやり方や回数も、見える視界を増やすための努力の方法です。

また「努力すれば見える視界」を増やすための安全確認のやり方と回数は、バック事故の防止方法にも通じます。

降車確認に代表されるバック事故の防止方法は、法律では定められていません。

よって各社の事故事例から社内でルールを決めて実践するものです。

社内のルールが決まっていなければ、バック事故が発生するまで放置しているのと同じ状況です。

社内のルールが決まっていれば、バック事故が発生する前にルールを守っていない時点での指導が可能になります。

その取り決めと取り組みの結果により、バック事故を削減することができます。

「社内のルールを守ること」とは「手順を省かないための練習」です。

手順とは「アブナイ」や「マチガイ」を行動から省くための手段です。

プロは手順を大切にしています。

正しい手順で仕事を行い、同じ結果を出すのがプロの仕事です。

プロが努力を続けることで、プロの無事故の日が長くなります。

簡単にできる手順にもこだわり続けることも、プロの実力です。

手順を省かない努力と、手順を変えない努力により、プロはいつもと同じ安全の結果を導いています。

トラックは死角の多い乗り物です。

サイドミラーやバックカメラでは見えない箇所は、目視で安全を確認してからバック走行を開始しましょう。

「動かないもの」と接触することが多いバック事故は、降車確認によりその発生を限りなくゼロに近づけることができます。

降車確認は面倒なものですが、その確認を省いてバック事故が発生すれば、もっと面倒なことになります。

だから「目視に勝る確認なし」。

バック走行時の確認の手順は、運転室内から着車位置を確認するのではなく。

接車位置に対して、降車確認以上の「歩いて確認」を実践しましょう。

ありがとうございました。

次回は9月29日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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