ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第108回 愛車への感謝と労い
仕事道具にこだわって仕事道具を大切にするのも、ドライバーの適性と言えます。その仕事道具の一番手がトラックです。洗車をしている姿と、洗車されたトラックを見れば、ドライバーとしての適性が見えてきます。
愛車への感謝と労い
私が運送会社のドライバーだった頃、オイル交換やタイヤローテーションは「ドライバーの仕事」と教わりました。
仕事が忙しい時には、休日の車庫でゆっくりと洗車や整備をしようとすると、同じことを考えている先輩ドライバーが先に陣取っていたこともしばしば。
近頃は、オイル交換やタイヤローテーションを整備工場に委託する運送会社が多くなってきたようです。
整備のプロに任せることによる安心感はもちろん、オイル交換時に制服を汚さなくなるのは良い効果だと思います。
しかしながら、ドライバーの「点検技術やトラックへの関心」が低下することが懸念されます。
ドライバーが行う点検とは法律を守るためではなく、自分を守るために行うものです。
出発前には自分の命を預けるトラックの「ブレーキ・タイヤ・灯火類・燃料」を点検しましょう。
最低限の点検項目として「ブ(レーキ)・タ(イヤ)・灯(火類)・燃料」と覚えましょう。
安全もおしゃれと同じく足元から。
トラックの足元を観て、タイヤの点検と液漏れの確認を。
点検とは正常に走行するためだけではなく、「思うように停まる」ために実践するもの。
特にタイヤの点検は「走るためではなく停まるための点検」を実施しましょう。
走るためだけなら、タイヤの溝の深さは気にしなくてもよいはずです。
始業時にエンジンを掛けた際に、トラックが発する「音」でトラックの調子を知ることも、プロドライバーの仕事です。
次回のエンジン始動時の異音を聞きやすくするためにも、エンジンを切る時からラジオをOFFにしておくこともお勧めの手順です。
小さな「異常・異音・異臭」を見落とさないための「観る・聴く・触れる」との体を使った点検方法です。
連続休暇明けなどで久しぶりにトラックを動かそうとすると、トラブルが起こる(異常に気づく)可能性が高くなります。
気温が一段と下がる冬期には、特にバッテリー接触部分の腐食も含めた点検を。
専用のトラックや専用の養生道具や専用の制服等、多くの道具を専用で支給されて専任で使うのも、ドライバーの仕事の特徴と言えます。
仕事道具にこだわって仕事道具を大切にするのも、ドライバーの適性と言えます。
その仕事道具の一番手がトラックです。
洗車をしている姿と、洗車されたトラックを見れば、ドライバーとしての適性が見えてきます。
愛車であるトラックを、まるで愛馬をいたわるかのように。
トラックに挨拶をしたり、トラックに愛称を付けたり。
愛車への感謝(洗車)と労い(整備)により、ドライバーの安全につながります。
「洗車や整備をしながらトラックに話し掛ける」ほど愛車精神が溢れるドライバーは、整備不良による車両故障はもちろん、交通事故にも遭いにくいように感じます。
ありがとうございました。
次回は10月13日(金)の更新予定です。
前の記事を読む
次の記事を読む