ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第77回 新入社員ドライバーへの添乗指導時に留意すべきこと
前職も他の運送会社でドライバーだったとしても、働く運送会社が変われば担当する荷主様が変わります。
荷主様が変われば扱う商品が変わります。
扱う商品が変われば納品先が変わります。
場所を探しながらの運転になりやすいのが、新入社員ドライバーの危険な運転傾向。
カーナビを見ながら運転するのではなく。
事前に停車状態で地図を読みましょう。
カーナビの機能以上に安全な道路や効率的な道順を選択できることも、プロドライバーの技術です。
迷いながら走行すれば走行距離が長くなり、必然的に交通事故に遭う確率も高くなります。
また、事前に地図で運行経路を調べることにより、目的地を点で覚えるのではなく、頭の中で適切な経路を線でつなげて覚える方法を提案しています。
ですから、カーナビの操作方法を説明するのではなく、経路の覚え方を説明しています。
働く運送会社が変われば、乗務する車種が変わることがあります。
平ボデー車からバン車へ変わる場合は、上部の確認方法を含む運転方法の指導。
バン車から平ボデー車へ変わる場合は、シートの掛け方を含む積載方法を指導。
法律ではアウトにならないことでも、交通事故につながる要因は指摘をして改善するのが添乗指導員の役割。
高速道路を走行中における車線内の車両位置。
信号待ち停車時の車間距離や、ギヤとブレーキの使い方。
交差点で左折時の進路の取り方。
ハンドルの持ち方と回し方。
バック時のハザードの使い方とバック走行を開始するタイミング。
ご本人には「なぜ悪いのか、どのようにすれば良いのか」を説明。
車内で「何を指摘したか、どのように改善指導をしたか」を添乗指導記録表にまとめて、運送会社の社内で報告をしています。
車内での会話からは、仕事や安全に対する考え方や危険の予測度を確認します。
危険を多く見つけられる人は安全な人。
危険を早く深く探せる人は安全な人。
走行中は“一瞬の判断”の連続であり、予測無しでは対応が遅れてしまいます。
また「時期・曜日・時間帯・天候」によっても予測すべき危険は変化します。
実務の指導だけでなく「誰にも言えないお悩みごと」の会話もしやすい車内環境を作ることも、添乗指導員の役割。
添乗指導とは“人間ドラレコ”のような機能。
ドライブレコーダーでは見えない安全確認の方法を確認して、機器では発しないことを相手に合わせて伝えられるのが“人間ドラレコ”の特長です。
ドライブレコーダーの映像を使った研修方法では “事故映像は使わない安全教育の手法”を提案しています。
私たちは添乗指導を担当しているので、事故映像以外でも“見える危険”があります。
机上ではなく車上だからこそ“見えた危険”があります。
事故になる前の危険を見ることで、事故を防止する教育方法です。
事故の大きさとは原因で判断するものであり、結果では判断をしないこと。
事故が起こってから添乗指導を実施するのではなく、事故が起こる前に添乗指導を実施して、ルールを守っていない時点で指導をすること。
管理者は「たまたまの無事故」に満足することなく、ドライバーの「努力による無事故」に感謝をしましょう。
最後にトラック乗務経験がない新入社員ドライバーに指導すべき、シンプルな安全ルールを紹介して終わります。
「前方や後方を含む周囲の安全を目視で確認できなければ、アクセルを踏まないこと」
ありがとうございました。
次回は7月22日(金)更新予定です。
前の記事を読む
次の記事を読む