第136回 運動も運転もメンタル重視

相手の経歴や趣味に合わせた「たとえ話」で場が和みつつ、指導内容への理解が得やすくなることも、車内で「1対1」の環境である添乗指導の利点です。若い男性ドライバーに人気のサッカーと運転には共通点があります。ベテラン男性ドライバーに人気のゴルフと運転には共通点があります。

運動も運転もメンタル重視

相手の経歴や趣味に合わせた「たとえ話」で場が和みつつ、指導内容への理解が得やすくなることも、車内で「1対1」の環境である添乗指導の利点です。

全国の車内での会話の経験上、若い男性ドライバーは相対的に野球よりもサッカーが人気のようにも感じます。

ちなみに相手との「1対1」に強いことも、サッカー選手に用いられる称賛の表現であり、運送会社においては管理者にも求められる資質のひとつです。

下記のようにサッカーに例えると、安全指導の内容も伝わりやすくなります。

パスをつないでゴールを目指すことは、商品を「集荷→幹線→配達」のドライバーがつないで目的地を目指すことと似ています。

パスを受ける前と同じく、動き出す前には首を振って周囲の確認をしましょう。

ドリブルの速度を上げるのと同じく、運転速度を上げるとミスが出やすくなります。

道の上の停止線は、超えてはならないオフサイドラインです。

試合前に想定するゲームプランは、運行前に決めておく運行計画と同じです。

試合中にハーフタイムがあるように、運転時にも適度な休憩を設定しましょう。

免許停止はイエローカードです。

危険行為や累積違反によりレッドカードになれば、道の上から退場を命じられます。

フリーキックやコーナーキックなどの「ボールをいったん止めてから動き出すセットプレー」による得点率が高いのは、車両が停止状態から動き出す際の交通事故の発生率に通じます。

前半も後半も開始直後の5分間と終了間際の5分間に得点が入りやすいのは、午前も午後も出発直後と到着直前の時間帯に発生する交通事故の原因にも通じます。

さらには魅せる「挨拶・身だしなみ・車輪止め」で、「品質のハットトリック」も目指しましょう!

また、ベテランの男性ドライバーだけでなく経営者や管理者との会話では、下記のようにゴルフに例えると伝わりやすくなる人が多いと感じます。

ゴルフのスコアを良くする(打数を減らす)ことと、ドライバーやお客様の満足度を良くする(交通事故を減らす)ことには、共通点があります。

ゴルフでプレー中に危険を知らせるための「ファー」と叫ぶ声は、道の上ではクラクションに該当するため、どちらも聞きたくはないものです。

ゴルフでもトラックの速度と同じく、飛ばし過ぎないことでOBを防止できます。

ゴルフ場のコースにおいて池を回避することは、トラックで水たまりの上を走行しないことと同じです。

同じくコース上で、左右に寄り過ぎずにフェアウェイをキープするのと、道の上で車線内を逸脱せずに走行するには「安全」が必要です。

周囲の人への配慮やルールやマナーを重んじることは、グリーンの上でも道の上でも「品質」が必要です。

プレーヤーの「安全」と「品質」を誰よりも身近な立ち位置で見守りながらサポートしているキャディさんは、ドライバーにとっては運行管理者のような存在です。

安全もゴルフも「まずはドライバーから」であり「ドライバーの状態」が結果を左右します。

ゴルフのスコアにおいてパー(0)を狙うのは、安全においては事故件数でゼロ(0)を狙うのと同じこと。

事故ゼロの継続で「安全のパープレー」を目指しましょう。

今回のコラムではサッカー版とゴルフ版での会話事例を紹介しましたが、他にも野球版や釣り版を準備して添乗車両に乗り込んでいます。

さて、近年のスポーツ競技(運動)においては、技術面だけでなくメンタル面を鍛えることも重視する傾向です。

まさに運動と同じく、運転にもメンタル面を鍛えることが重要です。

引き続きスポーツの秋を楽しみつつ、安全な秋をお過ごしください。

ありがとうございました。

次回は11月23日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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