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第131回 飲食店と運送会社の共通点
飲食業界における衛生への取り組みと、運送業界における安全への取り組みには共通点があります。決められた手順を省き続ければいつしか事故が発生すること。飲食店の厨房や運送会社の社内は、世間からは見えにくい空間ですが、その厨房や社内で「行うべきこと」と「行われていないこと」の差により、そのほころびがいつしか世間の目に触れて、国からの指摘や指導を受ける対象になってしまいます。
飲食店と運送会社の共通点
飲食店において調理をする人が、「忙しいから」と手を洗わなかったらどうなるでしょう?
その不衛生な状態を知ったお客様が離れていくはずです。
その状態(手を洗わない)で事故(食中毒)が起これば、営業停止処分になります。
営業停止処分になれば、さらにお客様が離れてしまい、処分が解かれても営業が立ち行かなくなるでしょう。
ほどなく閉店に追い込まれて、手を洗わなかった人たちの職場が無くなってしまいます。
手を洗わなかった人たちは、次に働く飲食店では自身の失敗経験から得た教訓により、教育を受けなくても、入念に手を洗うようになるでしょう。
飲食業界における衛生への取り組みと、運送業界における安全への取り組みには共通点があります。
決められた手順を省き続ければいつしか事故が発生して、国からのおとがめを受けて世間から淘汰されてしまうことも共通点。
不衛生な状態と不安全な状態の原因と結果もよく似ています。
衛生における「手を洗う」ことは、その「重要性や頻度や労力」ならびに「やり方と回数による結果の違い」は、安全における「確認」と似ています。
飲食店の厨房や運送会社の社内は、世間からは見えにくい空間ですが、その厨房や社内で「行うべきこと」と「行われていないこと」の差により、そのほころびがいつしか世間の目に触れて、国からの指摘や指導を受ける対象になってしまいます。
その点、厨房が見えるオープンキッチン型の飲食店では、厨房内での掲示物を見れば「伝えるものや伝え方=教育の内容や教育の方法」を含む「店のこだわり」が垣間見られます。
仕事に自信があるからこそ、魅せる仕事を見せることができるのでしょう。
自信が持てる仕事を身につけるために、仕事が見える環境を選択することもあるでしょう。
また、食中毒も交通事故も、第三者の命を奪う犯罪であることも共通点です。
衛生や安全の結果とは、働く人によって進化したり退化したりするものです。
進化と退化の分かれ目は、会社からの教育の「質と量とタイミング」です。
衛生や安全が、教育ではなく個性や感性によって保たれている状態では、いずれ重大事故が発生する可能性が高まります。
「部下への教育(結果)は上司の仕事(責任)ではない」と思えば、大きな組織では崩壊の道をたどることにもなりかねません。
現場では、事故の有無以上にルールへの対応可否の確認を重視しましょう。
事故が起これば社内外にニュースとして届きますが、ルールへの対応は現場で見ないと判別できないものです。
ルールを守らない人は、偶然の結果が続いているだけで、いずれ事故を起こす可能性が高い「事故予備軍」ともいえます。
さいごに。
運送会社では「自分(自社)は交通事故がない」と思うことが、交通事故が発生する最初で最大の原因です。
たとえば。
もしも「明日」事故が起こったら、「明後日」には何を考えて、何を実践しますか?
「明後日」に考えることを「今日」実践することにより、「明日」の交通事故を防止できます。
ありがとうございました。
次回は9月14日(金)更新予定です。
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