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第183回 スピードは車間距離
安全の二大項目である「速度と車間距離」とはそれぞれ別の項目ではなく、安全においては「速度は車間距離」として連動する法則と考えられます。そして法定速度を守ることで複数のメリットを得ることができます。
スピードは車間距離
ドライバーに法定速度を守ることを指導する際には「法定速度に関心を持つメリット」も伝えてみましょう。
法定速度を守って交通違反がなければ自身の運転免許証を守れることはもちろん、仕事を続けられることで今の生活を守れる以外にも下記のメリットが想定できます。
- 前車の後部を見ながら走行するよりも標識を探そうとすることで、目線が上向きになり視界が広くなって、より早く危険を察知できる
- 法定速度は周囲の歩行者や自転車の多さによって設定されるため、法定速度を把握すれば周辺の交通状況や飛び出しの可能性を予測できる
- 標識に記載された文字や数字を声に出して読むことで、眠気の防止と眠気の把握ができる
このように、一つの行動(努力)で二つ以上のメリットを得られるような説明をすると、伝わりやすくなると思います。
自車の速度を増すことは、自身の危険度が増すことにも通じます。
併せて、車両の大きさに比例して自身の危険度がさらに増すことになります。
言うまでもなく、大きな車両に乗務して速度を上げることは自身の危険度をさらに上げることにしかなりません。
安全の二大項目である「速度と車間距離」とはそれぞれ別の項目ではなく、安全においては「速度は車間距離」として連動する法則と考えられます。
この考え方は「速度が超過傾向」にあることが課題であったドライバーの添乗指導時に発見した安全の法則ですが、速度に応じて車間距離が変わります。
例えば。
前車が時速50kmで走行しているとします。
自車も時速50kmで走行していれば車間距離は変わりません。
しかしながら。
自車が時速60km(前車よりも速い速度)であれば、前車との車間距離が縮まります。
自車が時速40km(前車よりも遅い速度)であれば、前車との車間距離が長くなります。
要するに。
「速度を抑える」&(ことと)「車間距離を長くする」との指導ではなく。
「速度を抑える」=(ことは)「車間距離が長くなる」と指導すべきです。
車間距離が短いドライバーは、前車の運転者から「あおっている」と勘違いされるかもしれません。
自車の車両の大きさに比例して前車の運転者が「あおられている」との恐怖感が増すことで、予期せぬ疑いをかけられて交通トラブルに巻き込まれるかもしれません。
車間距離が縮まると追突事故の可能性が高まって、自身の寿命が縮まります。
車間距離の長さは「前車との速度の差」にも比例します。
車間距離の長さは「無事故日数の長さ」にも比例します。
速度を抑えて車間距離が長くなれば、割り込んでくる車両が多くなります。
その時には「入れてあげるかどうか」を迷うのではなく、いつも「ゆずる運転」で対応することを決めておくと、交通事故はもちろんのこと、交通トラブルも回避できます。
さりげなく、ドライバーに「会社車庫の前の道路の法定速度は何km?」と質問してみましょう。
正しく答えられるドライバーは「法定速度に関心を持って法定速度を守ろうとしている」と判断できると思います。
ありがとうございました。
次回は10月16日(金)更新予定です。
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