第144回 交通事故の四重奏

自動車運転免許を取得時に教習所で覚えたことを、全ての人が公道で実践すれば日本の交通事故は激減するでしょう。しかしながら「慢心・油断・横着」の心理により、教習所での記憶は薄れていくものです。「相手が停まってくれたら交通事故は起こらない」との他力本願の安全確保ではなく、「こちらが停まることで交通事故を起こさない」との努力と実力による安全確保を。

交通事故の四重奏

自動車運転免許を取得時に教習所で覚えたことを、全ての人が公道で実践すれば日本の交通事故は激減するでしょう。

しかしながら「慢心・油断・横着」の心理により、教習所での記憶は薄れていくものです。

確認を含む安全行動を怠った瞬間と一致して、危険な物や人に遭遇すれば交通事故が発生する確率は高くなります。

事業所内においては、管理者が効率を重視するあまりに整理整頓や礼節を省く状態は、ドライバーが確認や手順を省いてミスやロスを誘発するヒヤリハット状態といえます。

その理由は、管理者が効率を優先する行動の先には、ドライバーに対しても安全よりも効率に関する言葉を発する機会が多くなることが懸念されるからです。

ドライバーを守る最良の方法は安全です。

納品時間を守る最良の方法も安全です。

安全が最大の効率であり、安全なくして納品時間は守れません。

まずはミスを無くしてロスを無くすこと。

すなわち安全で正しい仕事を優先すること。

大きなトラックで長い距離を走行する車内においては、ドライバーが安全を過信すると危険が近づきます。

ドライバーに「急がば安全」や「急がば確認」と発信することは、3月末の繁忙期対策としても有効です。

安全でいられるための工夫をしなければ、同じ対策の繰り返しだけでは、いつしか慣れによる交通事故が発生します。

危険を回避する以上の安全を常に考えることは、危険な仕事に就いても誰よりも安全でいられる条件です。

ドライバーが「これぐらいなら大丈夫だろう」と安全を軽視した時点が危険の始まりです。

「これでもか!」と思うぐらいの「停止(てーし)と確認(よーし)」を繰り返すことでのみ、危険を遠ざけることができます。

確認をしようとすれば停止します。

停止をしようとすれば減速します。

停止と確認は速度にも関連します。

前車よりも速度を上げれば、車間距離が短くなります。

だから「確認をしない人は停止や減速をしない人であり車間距離が短い」との傾向です。

これは「1.確認をしない 2.停まらない 3.速度が速い 4.車間距離が短い」との「交通事故の四重奏」の状態といえます。

また、車間距離が短いと前車に遮られて前方の状況が確認しづらくなり、「歩行者が渡ろうとしている信号機のない横断歩道で一時停止ができない」ことで、事故や違反につながることも危惧されます。

横断歩道を通過時に自分は停まるつもりはなくても、横断しようとする歩行者を発見した前車の運転者が急に停まることへの予測と対処も必要です。

確実に確認するために、確実に停まりましょう。

「相手が停まってくれたら交通事故は起こらない」との他力本願の安全確保ではなく。

「こちらが停まることで交通事故を起こさない」との努力と実力による安全確保を。

最後に。

シンプルでカンタンな、安全になれる手順を紹介します。

前方の安全が確認できなれば、アクセルを踏まないこと。

前方の安全を確認できた場合のみ、アクセルを踏むこと。

「何かあったら停まる」との考え方では、意外と停まれないものです。

ありがとうございました。

次回は3月22日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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