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第12回 ハンディピッキングシステムを活用してピッキング時間を短縮
ハンディピッキングシステムを導入すると、リストピッキングの運用と比べて、ピッキング時間の短縮、ミスの減少が期待できます。
ハンディピッキングシステムを活用してピッキング時間を短縮
前回のコラムで、ピッキング時間の短縮を実現するためには、「(1)待つ時間」、「(2)考える時間」、「(3)歩く時間」、「(4)探す時間」、「(5)取る時間」をそれぞれ短縮しなければなりませんとお話をいたしました。
ハンディピッキングシステムの効果
前回解説しましたロケーション順のピッキングリストの発展形として、ハンディターミナルを利用したピッキングシステムがあります。
第11回 ロケーション管理システムを導入し、ピッキング時間の短縮と誤出荷の削減を実現
ハンディターミナルにピッキングに必要な情報(ロケーション番号、商品コード、商品名、数量)が表示されます。
指示されたロケーションどおりにピッキングをするのはリストの場合と同じですが、いくつかの点で作業時間が短縮できます。
一つ目は次のピッキング商品を探す時間です(「(4)探す時間」の短縮)。
ピッキングリストには、商品が何行も印字されているため、次にピッキングする商品が何行目にあるかを探す時間が数秒かかります。
ハンディターミナルだと、次の商品の1件しか表示されませんのでスムーズに次の作業に移れます。
二つ目は、商品の確認時間です(「(2)考える時間」の短縮)。
ピッキングリストでの運用をイメージしてください。
商品確認時には、ピッキングリストの商品名と現物商品のそれを見比べる必要があります(企業によってチェック項目は変わります。例えば、商品コードやJAN下4桁でチェックする企業もあります)。
ピッキングリストを確認し記憶、現物商品を目で確認しますので時間がかかります。
早い人でも3秒以上はかかると思います。記憶があやしい時は、チェックのやり直しも発生します。
ハンディターミナルだと、バーコードをスキャンするだけで、1秒もかかりません。
上記2点は、1ピックに数秒のことですが、ピック数が多いセンターでは、数時間の差が出る場合もあります。
三つ目は、ピッキングミスによる手戻り時間です(「(2)考える時間」、「(3)歩く時間」、「(4)探す時間」、「(5)取る時間」の短縮)。
ピッキングミスの多くは、商品の間違いと数量の間違いだと思います。
ハンディピッキングだと、集品場所で検品をすることにより、商品の集品間違いは無くなります。
また、集品全品のバーコードをスキャンすることにより、数量の間違いも無くなります(大量に集品する場合のみ、数量間違いを全廃することは難しいのですが)。
これに対し、リストによるピッキングだと、人の目による検品・数量の確認でミスの全廃は難しく、梱包前の最終検品で間違いに気付き、再ピッキングを行います。ここで手戻りが発生します。
また、この時に間違った棚に商品を戻し、連鎖ミスが発生する可能性もあります。
ハンディピッキングだと、ピッキングミスの確率が非常に低くなるので棚戻しをすることもほぼありません。
私の経験則ではありますが、リストピッキングで1行/1万行、ハンディピッキングで1行/10万行の誤出荷率の違いが出てきます。
また、作業の標準化が図れ、パートやアルバイトの起用が可能になります。物流コストの削減にも効果があります。
次回は8月8日(火)の更新予定です。