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第13回 ハンディピッキングシステムで作業分析を行い、作業効率向上を目指す
ハンディピッキングシステムに作業分析機能を導入すれば、個人別の作業効率が把握できます。作業の早い人のやり方を標準化できれば、全体の効率が20%以上向上できる可能性があります。
ハンディピッキングシステムで作業分析を行い、作業効率向上を目指す
ハンディピッキングシステムの作業分析機能
前回のコラムをご覧になり、「ハンディピッキングシステムを導入すると確かにピッキング時間は短縮できると思うが、投資に見合う効果が出るのか?」と思われた方も多いと思います。
第12回 ハンディピッキングシステムを活用してピッキング時間を短縮
システムの内容やハンディターミナルの台数・構成により投資費用は異なりますが、ハンディピッキングシステムを導入すると、1,000万円程度の投資が必要な場合もあります。
月額費用が仮に20万円とすると、1日1万円以上の時間短縮を行わないと費用対効果が得られないことになります。
1日5,000円のパート二人分に相当します。
ハンディピッキングシステム導入の目的を、「誤出荷の防止」と考えている方も多いのですが、私は作業時間の短縮が第一の目的と考えています(もちろん誤出荷防止にも効果があります)。
では、どのように進めればよいのかですが、パート比率が高い物流センターでは、ピッキングを早くしてもゆっくりしても時給が変わらないのであれば、早くやろうと思うパートはほとんどいません。
そこで、作業分析機能を導入し、ピッキング効率による評価制度を導入しましょう。
リストピッキングだと、作業時間データを正確に取れないため、ピッキングスピードでの評価ができません。
ハンディピッキングシステムを導入すれば、ハンディターミナルにピッキングした時刻が記録されていき、パート個人ごとにピッキングした商品の個数と時間が把握できます。
例えば、個人別に「ピッキング個数、ピッキング時間、個/時、行/時(ピッキング行数)」を出力し比較すれば、早い人と遅い人での差が数倍になることもあります。
ピッキング効率(行/時)で評価をし、時給に差をつけましょう。
作業の遅い人はどこに問題があるのかを検証し、具体的な指導を行うことによりスピードアップが実現します。
新人パートでも、1週間単位で作業効率の推移を検証、指導を行えば、1カ月もたてばベテランパートと遜色ないスピードが出ることもよくあります。
この評価方法導入の注意点としては、「時間をかけて評価制度を浸透させる」「公正な評価制度を確立する」、「個人へのデータ開示を行う」ことが重要となります。
一度時給を上げてしまうと、簡単には下げることはできません。
ピッキング時間がかかる商品群もあり、不公平感が出る可能性もあります。商品分類での区分けが必要かもしれません。
まずは、グループ評価からスタートして徐々に個人評価に落としていく。
1年程度の時間をかけて進めることができれば、きっと成功します。
私の経験則では、ピッキング時間が20~50%削減できた事例もあります。
ここまでいけば、ハンディピッキングシステムを導入しても費用対効果が出ます。
次回は8月22日(火)の更新予定です。